研究課題/領域番号 |
22H04400
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研究種目 |
奨励研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
3240:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 佐賀県警察本部刑事部科学捜査研究所 |
研究代表者 |
内川 貴志 佐賀県警察本部刑事部科学捜査研究所, 警察職員
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
450千円 (直接経費: 450千円)
2022年度: 450千円 (直接経費: 450千円)
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キーワード | 熱分解 / フルオロフェニル基 / カチノン類 / 位置異性体識別 / 異性体識別 |
研究開始時の研究の概要 |
違法薬物の中には、2-Fluoro-α-Pyrrolidinopentiophenone(2F-α-PVP)のようなフルオロフェニル基を有するカチノン類薬物(以下、「対象薬物」と言う)が存在する。これらの薬物は、熱の影響を受けやすく、加熱が必要な測定機器では、「対象薬物」の正確な分析結果が得られず、位置異性体識別は困難であった。 本研究は、「対象薬物」が容易に熱分解する特性に着目し、あえて加熱処理を施し「対象薬物」の熱分解物を生成させ、この生成物の機器分析結果を解析することで「対象薬物」の位置異性体識別が可能かどうかを検討するものである。
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研究成果の概要 |
オルト、メタ、パラの3種類の異性体が揃ったフルオロフェニル基を有するカチノン類薬物(例:2,3,4F-α-PVP)を遊離塩基状態で110℃で数時間加熱したところ、オルト体のみ熱分解反応が進行し、マススペクトル上で-HFに相当する質量数の減少が観測されたが、メタ体及びパラ体からは同様の熱分解反応は起きなかった。更に、加熱処理後のオルト体のみから蛍光特性が観察された。以上のことから、熱分解反応を利用することで、2F-α-PVPのようなフルオロフェニル基を有するカチノン類薬物の正確な識別が可能であることが判明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、容易に熱分解を引き起こし、位置異性体構造の特定が困難な2F-α-PVPのようなフルオロフェニル基(F-Ph基)を有するカチノン類薬物とその異性体を、熱分解挙動を把握した上であえて熱分解反応を起こさせ、生成した熱分解物を検証することで、それらの識別が可能であることを見出したものである。本研究成果によって、薬物識別能力の向上が期待され、より高精度な薬物鑑定業務の実施が可能となり、薬物関連事件における捜査の早期解決にも一定の貢献が期待できる。
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