研究課題/領域番号 |
22H04929
|
研究種目 |
基盤研究(S)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (70378826)
|
研究分担者 |
川島 理恵 京都産業大学, 国際関係学部, 教授 (00706822)
橋弥 和秀 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20324593)
安岡 宏和 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (20449292)
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (70345049)
バーデルスキー マシュー 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (80625020)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
193,050千円 (直接経費: 148,500千円、間接経費: 44,550千円)
2024年度: 37,310千円 (直接経費: 28,700千円、間接経費: 8,610千円)
2023年度: 35,880千円 (直接経費: 27,600千円、間接経費: 8,280千円)
2022年度: 47,190千円 (直接経費: 36,300千円、間接経費: 10,890千円)
|
キーワード | 子ども / アフリカ / コンタクト・ゾーン / ハビトゥス / マイクロ・ハビタット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,狩猟採集民と農牧民のコンタクト・ゾーンとなってきたアフリカの3地域を主たる調査地域とし,養育者-子ども間相互行為に関する調査を行い,行動の社会化,言語の身体化,制度の内面化が生じる過程,それに伴って行動環境,言語環境,制度環境が再編される過程を解明する.調査地域では,定住・集住に伴う「健康」の再編(ボツワナ);伝統的権威の復興に伴う「民族間関係」の再編(ナミビア);自然資源マネジメント政策の導入に伴う「生態学的知識」の再編(カメルーン)という課題を設け,変化し続ける社会で社会化していく子どもが,よりよい未来に向けてマイクロ・ハビタットとハビトゥスを相互構築していくことを支援する.
|
研究実績の概要 |
プロジェクトの初年度となる令和4年度は,事業初年度となる2022年度(令和4年度)は,研究員2名と事務補佐2名を採用し,研究実施に必要な機器(e.g. PC周辺機器,ビデオカメラ,Webカメラ,アイ・トラッカー,モーションキャプチャ,ソーラーパネル,モバイルバッテリー)の整備,資料(e.g. 書籍)の購入,文字起こしの業務委託などを行った.また,フィールド調査や国際学会での発表,国際ワークショップへの参加などのために研究者を海外に派遣した.例えばボツワナでは,本事業の代表者,研究員,代表者の指導院生らが本研究のカウンターパートとなるボツワナ大学のアフリカ言語・文学学科,サン研究センター,環境健康学科などを訪問して研究打ち合わせを行うと共に,本事業に関する資料収集を行った.さらに,主要な調査サイトの1つであるニューカデ村を訪問し,フィールドワークを行った.他のおもだった成果については,以下を参照<https://www.cci.jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/efm/report/>.また日本では,9回のデータセッション(DS)を行い,収集されたデータの分析の妥当性を検討すると共に若手研究者の育成を進めた.2022年度はとくに行動の社会化に焦点を当てた.その成果は各種研究会・学会等での発表(e.g. 本事業が主催する「子育ての生態学的未来構築コロキアム(第1回)」,アイルランドで開催された「第13回国際狩猟採集民会議」,ノルウェーで開催された「Contemporary hunter-gatherers and education in a changing world」)に加え,本事業専用のHP(<https://www.cci.jambo.africa.kyoto-u.ac.jp/efm/>)で随時公開した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの感染拡大による影響に伴い,研究協力機関における調査地立入に係る事務手続が厳格化されたため,フィールド予備調査に想定以上の時間を要することが判明した.研究遂行上,養育者-子ども間相互行為のフィールド調査のためには,当該フィールドでの予備調査が不可欠であるため,予算の一部を繰り越して,研究協力機関から立入許可の得られた調査地から順次フィールド予備調査を行うこととした.また,日本国内で行える紙芝居の制作,文字起こしの作成,HP の充実化,理論的な課題の検討を前倒しして推進した.また,その後に関係者によるフィールド調査を実施した.これらにより,遅れは取り戻しつつある.また,ボツワナ,ナミビア,カメルーンの遠隔地でのモバイル・ルーターの使用やソーラーパネルによる充電のテストを行い,オンラインでの聞き取り調査や資料収集についてのプラクティカルな対応についても検討を進めた.これにより,予期せぬ事態や中長期にわたって渡航が適わない状況でも,ある程度は事業が進められる目処が立ってきている.またボツワナ,ナミビア,カメルーンのカウンターパート機関との組織的な結びつきを強化し,現地の学生がフィールドワークに従事できる体制も整えつつある.これは,アフリカの次代を担う若手研究者の養成にも大きく寄与することができる.これらにより,研究は概ね順調に進展しており,期待どおりの成果が見込まれる.
|
今後の研究の推進方策 |
採択時の審査結果の所見においては,(1)地域貢献としての「よりよい未来の構築」支援の具体的な展望を明確にする必要がある,(2)研究テーマ「言語の身体化と言語環境の再編」においては,多言語社会アフリカにおいて子どもを対象とする「会話分析」の確実な実施のために,より多くの専門家との連携が不可欠と判断される,(3)コロナ渦でも最大限の研究成果をあげるために,コチュテルやジョイント・ディグリーにとどまらず,全調査地における研究テーマごとの調査研究について,研究体制の強化もしくは方法論を再考されたい,という指摘があった.これらについては,本事業の開始以来,以下のように真摯に対応を検討してきた. まず(1)については,総花的にならずに活動の焦点をしぼること,及び現地の組織や人々との継続的な連携体制を整えることを重視してきた.例えば,ナミビアでは,主要な調査サイトであるエコカ村の住人と親交が深く,現在はオニパの博物館のキュレーターをしているNghikefelwa氏らとクンやアコエの民族博物館を設立する構想について打合せを重ねている.(2)については,ボツワナでは言語学を専門として長年サンの開発事業に従事してきたHessel & Coby Visser夫妻を中心とする現地NGOとの連携を強化している.またカメルーンの調査に関わるメンバーでバカ語の勉強会を開催するとともに,地道な文字起こしに取り組んでいる.(3)については,ボツワナ,ナミビア,カメルーンでオンラインでの聞き取り調査や資料収集についてのプラクティカルな対応(e.g. 遠隔地でのモバイル・ルーターの使用やソーラーパネルによる充電のテスト)についても検討を進め,万全とは言えないまでもある程度は目処が立ってきている.
|