| 研究課題/領域番号 |
22H04940
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| 研究種目 |
基盤研究(S)
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| 配分区分 | 補助金 |
| 審査区分 |
大区分B
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| 研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野海 博之 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (10222192)
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| 研究分担者 |
成木 恵 京都大学, 理学研究科, 教授 (00415259)
佐久間 史典 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 専任研究員 (10455347)
本多 良太郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (30748877)
瀧澤 誠 昭和薬科大学, 薬学部, 講師 (90297044)
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| 研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2025年度)
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| 配分額 *注記 |
190,580千円 (直接経費: 146,600千円、間接経費: 43,980千円)
2025年度: 26,000千円 (直接経費: 20,000千円、間接経費: 6,000千円)
2024年度: 36,010千円 (直接経費: 27,700千円、間接経費: 8,310千円)
2023年度: 57,720千円 (直接経費: 44,400千円、間接経費: 13,320千円)
2022年度: 54,210千円 (直接経費: 41,700千円、間接経費: 12,510千円)
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| キーワード | チャームバリオン / ヘビーバリオン / チャームクォーク / ダイクォーク / RICH / ヘビークォーク |
| 研究開始時の研究の概要 |
バリオンを構成するクォークの1つを重いチャームクォークに置き換え、バリオン内部に閉じ込められたクォークの動きを炙り出す。J-PARCが供給する大強度パイオンビームを陽子標的に照射し、放出されたD*-中間子を測定し、生成されるチャームバリオンの基底状態から高励起状態まで欠損質量法を用いて系統的かつ包括的に測定する。生成率や崩壊分岐比を測定し、チャームバリオンを構成するクォーク対の集団的運動モードを検証し、バリオン内部で強く相関したクォーク対の運動を抽出する。クォーク相関を作るクォーク間の相互作用を明らかにし、クォークからハドロンが如何に形成されているかというハドロン物理学の重要課題に挑む。
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| 研究実績の概要 |
・大型飛跡検出器の開発:散乱粒子の多重度に対する検出効率を強化するために前方に散乱した粒子を広い面積(2.7mx1.8m)で検出する飛跡検出器の組立製造を完了した。 ・粒子識別検出器の開発:実機制作に向けて設計を進めた。チェレンコフ光輻射体の表面散乱による角度分解能悪化の抑制を期してエアロゲルの肉厚化を進め、30㎜厚の製作に初めて成功した。受光素子の熱雑音低下の方策として冷却システムの検討と設計を進めた。 ・データ収集システムの開発:連続読出し型高速データ収集システムの開発を進める。 これまで開発した検出器(ファイバートラッカーやドリフトチェンバーほか)を集結したテストベンチにおいて、実際の実験状況を模擬した環境でビームを用いたテスト実験(T103実験)を実施した。データ取得効率として20 Gbpsの高速でデータ損失なく記録できることを確認した。オンライン事象選別フィルターとしてK中間子ビーム事象を選別する機能を導入し、所期の性能が確認できた。 ・高運動量二次ビームの開発:J-PARCの高運動量ビームラインにおいて、二次粒子ビームの観測を行った(T106実験)。運動量10 GeV/cの設定で、毎スピル(4.2秒)140万個の二次粒子を観測した。今後、二次粒子ビームの利用が拓かれた。 ・理論研究の推進:チャームバリオンのみならず、ストレンジクォークを複数含むΞバリオンやΩバリオンなどバリオン内部のクォーク相関の性質や関連するスピン依存力の起源および高密度クォーク物質におけるクォーク対凝縮との関連など、背景にある強い相互作用の非摂動的領域における物理について、格子QCDや有効理論の専門家および実験家を集め、コミュニティーにも開かれた議論を行う場としてハドロンセミナーシリーズを6件実施した。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
1) 前年度に設計を見直した大型飛跡検出器(LDC)の組立製造は完了したので、LDCの導入遅れは取り戻せる見込みである。 2) 粒子識別装置(RICH)については、分割試作機によって示された性能評価を基に、実機の設計を進めた。とくに、受光面の設計が進んだ。一方、温暖化対策のため入手困難になりつつあるC4F10の代替ガスの調達についてやや遅れている。これは世界的な問題となっていて、同様のRICHを開発する研究者と協力して問題解決に取り組んでいる。 3) 連続読出し型データ収集システムの開発については、J-PARCに構築したテストベンチによってより実践的な環境でデータ収集システムのテスト実験(T103)を実施し、所期の性能を評価できた。 4)高運動量ビームラインにおいて、二次粒子の測定実験(T106)を実施する機会を得た。これにより、二次粒子の強度およびビームラインのイオン光学的特性が評価できたことは、当初予定を上回る成果であった。 以上より、本課題推進のコア装置である大型スペクトロメータの整備は着々と進んでいると考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
・大型飛跡検出器の開発:前年度に組み立てた大型飛跡検出器について、引き続き、宇宙線等を用いて位置分解能や検出効率の性能評価を行う。・ 粒子識別検出器の開発:集光器を組み込んだ受光面の設計に基づいて実証機の製作と性能評価を行う。冷却機構を取り付けて受光素子の熱雑音低下を確認する。エアロゲル輻射体の表面状態のチェレンコフ輻射角分解能に及ぼす影響を評価する。代替輻射体ガスの選定を進めるともに、ガス輻射体の純度維持機構を備えたガス循環システムを構築し、粒子識別検出器の実機製造を目指す。 ・データ収集システムの開発:連続読出し型高速データ収集(SRODAQ)システムの開発を進める。T103実験で取得したデータを再生し、飛跡構築など比較的高度なオンライン事象選別フィルターソフトウエアの開発を行い、より実用的なデータ収集システムの構築を目指す。・ 理論研究の推進:チャームバリオンのみならず、ストレンジクォークを複数含むΞバリオンやΩバリオンなどバリオン内部のクォーク相関の性質や関連するスピン依存力の起源および高密度クォーク物質におけるクォーク対凝縮との関連など、背景にある強い相互作用の非摂動的領域における物理について、格子QCDや有効理論の専門家および実験家を集め、コミュニティーにも開かれた議論を行う場としてハドロンセミナーシリーズを継続する。ヘビーバリオン内のダイクォークとヘビークォークを閉じ込めるポテンシャルと励起エネルギーの関係に注目し、生成率や崩壊分岐比に及ぼす影響について明らかにする。
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| 評価結果 |
中間評価
A-: 一部に遅れ等が認められるため、今後努力が必要であるが、概ね順調に研究が進展しており、一定の成果が見込まれる
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