研究課題/領域番号 |
22H04977
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分F
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳澤 修一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (20222359)
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研究分担者 |
宮川 拓也 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (50596559)
櫻庭 康仁 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80792192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
194,610千円 (直接経費: 149,700千円、間接経費: 44,910千円)
2024年度: 34,970千円 (直接経費: 26,900千円、間接経費: 8,070千円)
2023年度: 34,450千円 (直接経費: 26,500千円、間接経費: 7,950千円)
2022年度: 56,030千円 (直接経費: 43,100千円、間接経費: 12,930千円)
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キーワード | 植物栄養 / 肥料三要素 / リービッヒの最小律 / 栄養シグナル / 転写制御 / シグナル伝達 / 遺伝子発現制御 / 硝酸シグナル伝達 / 転写因子 |
研究開始時の研究の概要 |
植物成長の本質を表す概念に「植物の成長は最も不足している栄養素にのみ影響される」とするリービッヒの最小律があるが、この概念を裏打ちする分子メカニズムは未解明である。肥料三要素(窒素、リン、カリ)は植物の栄養素の中でも必要量が多いために欠乏状態になりやすい栄養素である。そこで、肥料三要素に焦点を当て、シロイヌナズナとイネを用いて、これら栄養素に関する情報の統合メカニズムを解明する。さらに、この栄養情報の統合メカニズムによって肥料三要素の獲得バランスが調節され、成長速度が決定されていることを示し、リービッヒの最小律を裏打ちする分子メカニズムの実体を明らかにする。
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研究実績の概要 |
どのようにして植物は肥料三要素に関する栄養情報を統合して成長の最適化を行なっているかを解明することを目的として研究を進めた。まず、硝酸シグナル応答において中心的な役割を担うNLP7転写因子の硝酸シグナル受容ドメインは硝酸イオンに直接結合することを示し、NLP7が硝酸センサーであることを明らかにした。また、NLP7の標的遺伝子の一つがNADH合成経路の鍵酵素遺伝子(AO)であることから、NLP7結合部位が破壊された変異型AOプロモーターあるいは野生型AOプロモーターによってAOの発現が制御されているシロイヌナズナ系統を作出していたが、これらにおける遺伝子発現を包括的に比較するとともに硝酸還元活性も比較することで、硝酸シグナルがNADH合成を促進する理由はTCA回路を維持するためであり、NLP7によるAOの制御は硝酸シグナルに応答した広範囲な遺伝子発現の変化に必要であることを明らかにした。また、NLP7の標的遺伝子の一つとしてHB52転写因子遺伝子を同定し、この転写制御の意義は葉緑体の機能維持であることを示唆していたことから、異なる光条件下にあるnlp7変異体とhb52変異体の葉緑体の電子顕微鏡観察を行うことで、このことを確立した。一方で、イネにおける窒素欠乏応答を担う転写抑制因子OsHHO3は幾つかのリン酸トランスポーター遺伝子の発現抑制因子でもあることを発見し、この抑制の意義を明らかするための解析を開始した。また、共発現解析等によりOsHHO3遺伝子と同様にイネにおける窒素欠乏応答の鍵転写因子遺伝子であると示唆されたOsHHO4遺伝子をゲノム編集技術により破壊すると、oshho3変異体と同様の表現型を示すことを明らかにした。しかしながらoshho3変異体とoshho4変異体では表現型に異なる点も見られたことから、これらの転写抑制因子としての機能の差異に関する解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NLP転写因子が硝酸センサーであることを示すなど大きな成果を挙げてており、また、他の解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更を加えることなく、研究課題を着実に進める。
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