研究課題/領域番号 |
22H04980
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分G
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
東山 哲也 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00313205)
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研究分担者 |
金岡 雅浩 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10467277)
武内 秀憲 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任助教 (10710254)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
196,300千円 (直接経費: 151,000千円、間接経費: 45,300千円)
2024年度: 30,160千円 (直接経費: 23,200千円、間接経費: 6,960千円)
2023年度: 30,160千円 (直接経費: 23,200千円、間接経費: 6,960千円)
2022年度: 75,660千円 (直接経費: 58,200千円、間接経費: 17,460千円)
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キーワード | 花粉管ガイダンス / 胚珠 / ペプチドリガンド / 受容体 / ライブセル解析 |
研究開始時の研究の概要 |
花の雌しべの中で、花粉から伸びだす直径約10マイクロメートルの管状の細胞は、なぜ正確に遠距離にある直径30マイクロメートルほどの小さな卵細胞まで到達できるのか。しかも胚珠(受精前の種子)が複数並ぶ場合、花粉管は整然と1つの胚珠に1本ずつガイドされる。卵細胞を含む胚珠から、花粉管を導くための複数の分子が花粉管に対してシグナルとして与えられることが明らかとなってきた。胚珠がどのように複数の誘引シグナルを使い分けて花粉管をガイドするのか、リアルタイムな細胞間シグナル分子の研究によって、分子の作動原理のレベルで胚珠による複数の花粉管ガイダンスを理解することを目指す。
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研究実績の概要 |
花の雌しべの中で、花粉から伸びだす直径約10マイクロメートルの管状の細胞は、なぜ正確に遠距離にある直径30マイクロメートルほどの小さな卵細胞まで到達できるのか。しかも胚珠(受精前の種子)が複数並ぶ場合、花粉管は整然と1つの胚珠に1本ずつガイドされる。卵細胞を含む胚珠から、花粉管を導くための複数の分子が花粉管に対してシグナルとして与えられることが明らかとなってきた。胚珠がどのように複数の誘引シグナルを使い分けて花粉管をガイドするのか、リアルタイムな細胞間シグナル分子の研究によって、分子の作動原理のレベルで胚珠による複数の花粉管ガイダンスを理解することを目指す。本年度は、まず研究分担者の武内氏を中心に、花粉管で発現する5つのGEFについて、発芽、伸長、誘引に対するに役割分担を示唆する結果を得た。さらにLUREとPRK6受容体の1分子イメージングに向けて、蛍光化合物でのラベリング方法や観察法の確立を進めた。LURE、PRK6、それぞれのラベリングが可能である。長距離誘引の研究では、アブラナ科での長距離誘引の検討を進めるとともに、トレニアゲノムの公開に向けた準備を進めた。さらに、2段階ガイダンスを同じ植物で分子遺伝学的にも研究できるモデルとして、トレニア属ウリクサでの基盤整備を進めている。研究推進の基盤となる、シロイヌナズナ胚珠による2段階ガイダンスのin vivoでの実態、そして反発物質の存在を示唆するライブイメージングについて、論文の投稿を開始した。また、計画に沿って共焦点レーザー顕微鏡を購入し、使用を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2段階ガイダンスの両段階において、研究を計画通りに進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
胚珠に由来する複数のガイダンスについて、分子の作動原理のレベルで明らかにする。花粉管(シングルセル)は、先端成長により伸長する。細胞の一端で、激しく分泌が起こることで伸長する。花粉管が曲がるときは、この分泌の中心が曲がる側に偏る。 花粉管の先端では、細胞内カルシウム濃度や、Rho-likeな低分子量GTPaseの活性化、分泌、細胞壁のリモデリングなどが、数十秒から数分の周期性を持って制御されている。LURE経路は、花粉管のこの振動周期を直接変化させ、急激に花粉管の角度を変化させると考えられる。次年度は、LUREを与えた際の受容体の挙動やシグナリングを1分子イメージングで解析するための条件検討をさらに進め、LUREおよびPRK6それぞれの1分子イメージング像を得ることを目標とする。また、LURE1-PRK6をモデルに、相互作用を検出する効率的な系を開発する。 一方、CALL1など、長距離性のガイダンス分子が、どのようにリニアな濃度勾配に沿って大きな曲率半径で花粉管を曲げるのか、CALL1の作用点である受容体を同定することが重要である。単純計算では、マイクロ流体デバイス内でのCALL1の濃度勾配は、花粉管の右と左でたった数分子の差しかない。花粉管にどのように方向の情報を与えているのか、受容体の同定や下流の解析から考察する。また、長距離ガイダンスは、精密な短距離ガイダンスの前段階で花粉管を胚珠に向かわせるシグナルと考えられるが、本年度に取りまとめたシロイヌナズナ雌しべ内でのライブイメージングから、その出所と作用の様子が明らかとなった。配偶体の受容体分子に依存すると考えられ珠柄付近で働く反発物質の存在も示唆された。次年度は、整備が進んできたトレニア属ウリクサを用いて、in vitroおよびin vivoの長距離ガイダンスの解析を進めるとともに、ウリクサのゲノム情報の整備を進める。
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