研究課題/領域番号 |
22H04983
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分G
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
北野 潤 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (80346105)
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研究分担者 |
岸田 治 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (00545626)
石川 麻乃 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (20722101)
山崎 曜 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 助教 (40816021)
山道 真人 国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授 (70734804)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
193,830千円 (直接経費: 149,100千円、間接経費: 44,730千円)
2024年度: 36,790千円 (直接経費: 28,300千円、間接経費: 8,490千円)
2023年度: 36,790千円 (直接経費: 28,300千円、間接経費: 8,490千円)
2022年度: 46,670千円 (直接経費: 35,900千円、間接経費: 10,770千円)
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キーワード | 種分化 / 適応進化 / ゲノム / 魚 / 進化 / 適応 |
研究開始時の研究の概要 |
種分化とは、一つの連続的な集団が分かれ、その分化が維持されるに至る一連の過程である。対比的な環境に生息する集団は適応形質が分化し、生態的種分化を始めると考えられる。一方、雑種異常のような内在性の生殖隔離、つまり外部環境に依存しない生殖隔離は、種分化の完成に重要であると考えられている。では、生態的種分化の必然の帰結として、時間が経てば連続的に内在性の雑種異常が進化して種分化は完成に至るのだろうか?あるいは、種分化の完成には何らかの促進因子が重要なのだろうか?本研究では、申請者らが独自に確立してきた種分化段階の異なる野外トゲウオの集団・種のペア(種分化連続体)を利用することで、この問いに答える。
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研究実績の概要 |
雑種不妊や雑種致死などの雑種異常の原因変異を同定するためにトゲウオのイトヨ属・トミヨ属などの集団間・種間雑種を複数家系作出した。一部については、すでに生殖線の表現型解析の後、家系個体のRADシークエンスによってQTLマッピングを実施した。ファインマッピングにて遺伝子座が絞り込めた家系に関しては精巣のバルクのRNAシークエンスおよび精巣シングルセルRNAシークエンス解析なども駆使して候補遺伝子の絞り込みを行い、これらについて順次CRISPRでの操作実験を開始した。また、染色体構造変化と種分化の関係を解明するために、染色体構造をCRISPRで変換させる実験に着手し、逆位および大きな欠失の誘導に成功した。さらに、複数のトゲウオの集団・種のデノボゲノムアセンブルを実施した。これらと、種分化の進行具合との相関を解析した。野外で働く生態的な生殖隔離機構を同定し、その原因遺伝子座をマッピングするために、野外メソコスムを設置し、イトヨ属の各種雑種を放流した。生存個体を回収後、成長率や肝臓の重量などを計測し、生存率や成長率や栄養状態などのQTLマッピングを行なった。その結果、一部については、適応度に貢献する遺伝子間相互作用(エピスタシス)らしきものを既に同定できた。理論研究とシミュレーションを実施するために、種分化を誘導しやすい条件についてまずは議論を重ねて総説の執筆に取り掛かった。この知見に基づいて理論モデルを実際に構築し、数理解析やシミュレーションを行うための基盤を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
遺伝・ゲノム解析、生態解析、理論解析の全ての面において、当初の予定通り進んでいるから。
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今後の研究の推進方策 |
雑種異常のマッピングを継続するとともに、原因変異を同定するために、順次CRISPRを継続する。染色体構造変化を誘導したトゲウオにおける雑種異常への貢献を解析する。野外メソコスム実験を継続し、野外で働く生殖隔離機構とその遺伝基盤を同定する。種分化を誘導しやすいあるいは抑制しやすい条件について、数理解析やシミュレーションに進める。
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