研究課題/領域番号 |
22H04988
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分H
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 一宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252459)
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研究分担者 |
森信 暁雄 京都大学, 医学研究科, 教授 (10294216)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
192,660千円 (直接経費: 148,200千円、間接経費: 44,460千円)
2024年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2023年度: 40,040千円 (直接経費: 30,800千円、間接経費: 9,240千円)
2022年度: 37,960千円 (直接経費: 29,200千円、間接経費: 8,760千円)
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キーワード | 炎症シグナル / 直鎖状ユビキチン鎖 / 自己免疫疾患 / 癌慢性炎症 / 細胞死 / 自己炎症性疾患 / グリコーゲン代謝異常 |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者が発見した直鎖状ユビキチン鎖はLUBACリガーゼによって特異的に生成される新規シグナル伝達に寄与する翻訳後修飾である。代表者はこれまで多彩な手法を用いて解析を進め、世界のLUBAC、直鎖状ユビキチン鎖研究をリードしてきた。本研究では予備的知見を踏まえて、LUBACが生成する直鎖状ユビキチン鎖の癌治療への応用、自己免疫疾患、感染症制御、グリコーゲン代謝調節における役割などの研究を推進する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では研究代表者が発見し、発展させてきた直鎖状ユビキチン鎖、LUBACの研究の中で、未解明の機能発現メカニズム、LUBACの新たな機能、疾患研究への展開を目指して、研究を推進している。2年目である本年度は以下の3項目から研究を推進し、以下の結果を得た。1) 直鎖状ユビキチン鎖生成亢進による自己免疫疾患の発症機構ではLUBACの機能亢進によってマウスで全身性エリテマトーデス(SLE)が発症すること、LUBACを活性化するHOIL-1Lの遺伝子多型がヒトSLEのヒトSLEの疾患感受性遺伝子であることをJCI insight誌に発表した。2) 直鎖状ユビキチン鎖を選択的に切断する酵素であるOTULINの両遺伝子座の変異よって、ORASと称される自己炎症性疾患が発症することが報告されていた。北海道大学の症例を解析し、片アレルの変異でもドミナントネガティブ変異体でORASが発症することを示した。また、LUBACの機能低下に起因する自己炎症性疾患には2つのタイプがあるが、LUBACサブユニットの変異では免疫不全+自己炎症性疾患、OTULIN変異では自己炎症性疾患のみという異なる表現系を示す理由はNF-kappaB活性化抑制の有無であることを示した( J Exp Med印刷中)。3) HOIL-1L変異のゲノム変異はSLE以外にも異常グリコーゲンの蓄積によるポリグルコサン小体ミオパチーを呈する患者が報告されている。HOIL-1LはLUBACのサブユニットの1つで直鎖状ユビキチン鎖生成に寄与しているが、HOIl-1Lも酵素活性を有する。申請者らはHOIL-1Lの変異によってグリコーゲン代謝異常が生じるメカニズムを解析し、グリコーゲン代謝異常は直鎖状ユビキチン鎖生成能ではなく、HOIL-1Lのリガーゼ活性の欠失によって惹起されることを明らかにした(Acta Neuropathol 2024)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染への寄与については、申請者の仮説を検証できず、やむなく研究を中止したが、他の項目については、すでに論文が出版、受理されているなど、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
感染への寄与の研究は中止したが、それ以外の研究については当初の計画にそって推進する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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