研究課題/領域番号 |
22H04989
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分H
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
192,790千円 (直接経費: 148,300千円、間接経費: 44,490千円)
2024年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2023年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2022年度: 41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
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キーワード | 宿主病原体相互作用 / ウイルス再活性化 / 免疫異常 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫システムは病原体とともに進化してきた生体防御システムであり、ウイルス等の病原体を特異的に攻撃する。しかし、免疫システムが正常に制御されないと自己免疫疾患が発症したり、感染症が重症化したりする。実際、多くの自己免疫疾患はなんらかの感染症を契機に発症するが、そのメカニズムは明らかでない。また、感染症においてもなぜ特定の人のみが重症化するのかは不明である。そこで、本研究では、宿主―病原体相互作用を統合的解明し感染症等によって生じる免疫異常の原因解明を行う。
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研究実績の概要 |
免疫システムは病原体とともに進化してきた生体防御システムであり、ウイルス等の病原体を特異的に攻撃する。しかし、免疫システムが正常に制御されないと自己免疫疾患が発症したり、感染症が重症化したりする。実際、多くの自己免疫疾患はなんらかの感染症を契機に発症するが、そのメカニズムは明らかでない。新型コロナウイルス感染症においても、なぜ特定の人のみが重症化するのか、どのようなメカニズムで肺炎が発症するかは不明である。このように、感染症は様々な免疫異常と密接に関与しており、その原因を解明するためには、ウイルス等の病原体と宿主免疫との相互作用を解明することが必要である 。申請者はこれまでペア型受容体を中心に宿主病原体相互作用、特に病原体の免疫逃避機構や病原体の認識機構を解明してきた。そこで、本研究では、さらに宿主―病原体相互作用を統合的解明し感染症によって生じる免疫異常の原因解明を目的とする。本年度は、主に、自己免疫疾患の発症に関与していると考えられるEBウイルスが免疫機構にどの様な影響を与えるかの解析を行なった。その結果、EBウイルス分子の中に免疫の中心分子であるMHCの機能を大きく変える分子があることが明らかになった。さらに、ウイルス分子がどの様に免疫異常を引き起こすかをSingle cell RNA-seqを用いて解析を行なうことによってこれまでに知られていない新たなウイルス分子と宿主分子との相互作用が明らかになり、EBウイルスによる免疫異常の誘導に関与している可能性が明らかになった。さらに、様々な病原体と宿主分子との相互作用を研究することにより、感染症に伴う免疫異常の分子機構の解明が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EBウイルスの再活性化に伴う免疫異常を明らかにするために、ウイルスの再活性化が免疫応答の中心的な役割を担っている主要組織適合性複合体遺伝子(MHC)の機能を中心にどの様な影響を与えるかを解析した。その結果、これまでに知られていない全く新たな免疫異常を引き起こす分子機構が明らかになった。このように、ウイルスと免疫分子との相互作用を解析することにより新たな宿主病原体相互作用が明らかになってきており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究により、EBウイルスの再活性化がMHCの機能を明らかになってきたので、EBウイルスによって引き起こされるMHCの機能異常がどの様に免疫異常を引き起こすかの解析を行う予定である。また、EBウイルス以外のウイルスや宿主因子に同様な機能を示す分子がないかを解明する予定である。特に、B細胞やT細胞の抗原認識にどの様な影響を与えるかを解析し、感染によって引き起こされる免疫異常のメカニズムを解明する。本研究により新たな宿主ー病原体相互作用の機能が明らかになることが期待される。
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