研究課題/領域番号 |
22H04990
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 俊平 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (50418638)
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研究分担者 |
大島 貴 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンター(臨床研究所), その他部局等, 部長 (10448665)
牛久 哲男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60376415)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
192,790千円 (直接経費: 148,300千円、間接経費: 44,490千円)
2024年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2023年度: 37,700千円 (直接経費: 29,000千円、間接経費: 8,700千円)
2022年度: 41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
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キーワード | 胃癌 / 人工知能 / 病理画像 / ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム情報を用いたがんの多様性の解明は進む一方で、がんの分類・診断に用いられてきた病理組織画像などの空間情報は構造化(数値化)が非常に難しく、その結果、がんの病理組織情報とゲノム情報が定量的に統合されず生物学的・臨床病理学的多様性の理解が十分ではありません。本研究では、人工知能技術を用いて胃癌の病理組織情報を構造化し、それらをゲノム情報と定量的に統合することで多様性の新たな全体像を定義することを目的とします。本研究で得られる概念は病理組織学にゲノム科学と同様のデータサイエンスとしての特性を持たせることが可能でありがん全体の多様性把握と本態解明に高い波及効果を持つと考えられます。
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研究実績の概要 |
ゲノム情報を用いたがんの多様性の解明は進む一方で、がんの分類・診断に用いられてきた病理組織画像などの空間情報は構造化(数値化)が非常に難しく、その結果、がんの病理組織情報とゲノム情報が定量的に統合されず生物学的・臨床病理学的多様性の理解が十分ではない。本研究では、人工知能技術を用いて胃癌の病理組織情報を構造化し、それらをゲノム情報と定量的に統合することで多様性の新たな全体像を定義することを目的とする。生物単位で意味を捉えるニューラルネットワークを構築してその空間配置の抽象化を行うとともに、シングルセルゲノミクス等との比較を通じて、細胞間相互作用と組織構築の関係性を捉える。 本研究の前半は胃癌のゲノム情報と病理組織情報のデータ取得及び、病理組織像の構造化技術の高精度化を図る。後半は統合解析による胃癌の多様性を表現する方法を確立するとともに、シングルセルゲノミクス等による細胞間相互作用と組織像との相関解析や生物学的意義づけを行う予定である。令和5年度は、組織染色条件によって結果が変動することのない特徴抽出法及び、免疫染色との対応づけにより組織を構成する各細胞の位置関係などの生物学的意味を抽出する人工知能技術の開発を行なった。これまで取得したもしくは公共データにある800症例超の胃癌のゲノミクス情報及び病理画像情報について統一した条件、適切な領域での特徴抽出を完了して多様性の全体像の分布を確認した。並行してシングルセル空間ゲノミクスのパイロット的解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画では前半は胃癌のゲノム情報と病理組織情報のデータ取得及び、病理組織像の構造化技術の高精度化を図る。後半は統合解析による胃癌の多様性を表現する方法を確立するとともに、シングルセルゲノミクス等による細胞間相互作用と組織像との相関解析や生物学的意義づけを行う予定としていた。R5年度末において胃癌のゲノミクス情報と病理画像情報については、当初予定を大きく上回る800例超の症例について統一した条件、適切な領域での特徴抽出の完了を行い、多様性の概要を把握することに成功した。また免疫染色との対応づけにより組織を構成する各細胞の位置関係などの生物学的意味を抽出する人工知能技術の開発についてはすでに研究期間後半に予定していた高精度化も達成し論文を発表しており当初の想定を上回る進捗と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初は試験的にシングルセル空間トランスクリプトームの研究を行っていたが、来年度からはさらに多くの症例に対してシングルセル空間トランスクリプトーム解析を拡大し、焦点を当てて研究を進める計画である。同時に組織の染色画像を取得することができ、これをトランスクリプトームデータと正確に結びつけることが可能になる。そのため、今後はこの情報を活用して、シングルセル空間トランスクリプトームデータと対応する組織画像を統合し、新しい解析技術の開発を進める予定である。
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