研究課題/領域番号 |
22H05006
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分K
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
石戸谷 重之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究グループ長 (70374907)
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研究分担者 |
菅原 敏 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (80282151)
奈良 英樹 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (30534490)
森本 真司 東北大学, 理学研究科, 教授 (30270424)
丹羽 洋介 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主任研究員 (70588318)
後藤 大輔 国立極地研究所, 先端研究推進系, 助教 (10626386)
石島 健太郎 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 主任研究官 (90399494)
青木 伸行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (60414356)
遠嶋 康徳 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 室長 (40227559)
坪井 一寛 気象庁気象研究所, 気候・環境研究部, 室長 (10553167)
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研究期間 (年度) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
200,330千円 (直接経費: 154,100千円、間接経費: 46,230千円)
2024年度: 18,460千円 (直接経費: 14,200千円、間接経費: 4,260千円)
2023年度: 29,120千円 (直接経費: 22,400千円、間接経費: 6,720千円)
2022年度: 112,710千円 (直接経費: 86,700千円、間接経費: 26,010千円)
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キーワード | 広域三次元大気観測 / 酸素・アルゴン・COS濃度 / 成層圏重力分離・空気年齢 / COS同位体比・酸素同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
温暖化による熱の9割を吸収する海洋の貯熱量増加や、温暖化に伴う陸域・海洋の生物活動変動についての有用な情報を有するものの、観測の困難さから報告例が極めて少ない大気成分を対象とし、南北両極域からそれを結ぶ南北太平洋上、地表から下部-中部-上部対流圏さらには対流圏界面上から高度35 kmの中部成層圏に亘る3次元広域観測網を確立することで、気候変動と炭素・酸素循環に関する新たな包括的評価システムの構築を目指す。
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研究実績の概要 |
地上、船舶、航空機によるO2濃度の広域観測を展開するとともに、超高精度O2標準ガス及び実大気サンプルを用いた国内外の観測基準比較を推進した。広域観測結果に大気輸送モデルによる逆解析を適用することで、海洋生物活動及び大気海洋間熱交換により駆動される大気海洋O2交換量を推定することを目的とし、NICAM-TMを用いたO2濃逆解析システムを新たに開発し、試験計算に成功した。Ar濃度について国内外8箇所の地上観測と、南北太平洋船舶による試験観測を行い、並行して質量分析計を用いた分析の自動化を進めた。過去12年間のAr濃度の長期トレンドから推定した海洋貯熱量増加は、Argo計画による海洋観測結果と整合的な値であった。大気球搭載クライオジェニックサンプラーによる成層圏観測について、観測装置の改修・改良により安全審査をクリアしてR6年度の実験実施が見通せる段階に到達した。日本上空成層圏大気の重力分離と平均年齢の長期データを検討した結果、分離の強い年に温度勾配により生じる熱拡散分離の寄与が認められ、起源として示唆される中間圏の影響について解析を進めている。COS濃度について、独自の参照ガス製造システムによる高精度分析法を船舶観測で得られた大気試料に適用し、大気採取法の妥当性等を検討しつつ広域データの蓄積を進めた。中赤外レーザー分析計を用いたCOS濃度の連続観測システムの開発を継続し、実大気の試験観測も実施した。COS硫黄同位体比を、従来法より2桁少ない試料量で測定できる高感度分析法の開発を進めた。大気中のO2の安定同位体比について、つくばでの連続観測から、日内・季節・経年変動の全てについてその観測に初めて成功し、酸素循環・水循環プロセスを考慮したモデルと組み合わせて、生物由来と化石燃料由来のO2濃度変動の分離、陸上生物の総一次生産や光呼吸の長期変動との関係について解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広域O2濃度観測の維持とデータセットの整備、大気輸送モデルを用いたO2濃度逆解析システムの開発、観測データの基準統一に向けたサンプル比較分析や標準ガス調製が順調に進んでいる。Ar濃度の広域展開に向けた広域船舶観測の実験上の課題も概ね解決し、新規導入質量分析計の調整・自動化によるサンプル処理速度向上もほぼ順調に進んでいる。成層圏観測については、観測装置の更新と改良が順調に進展し、R6年度の実験の実施計画がJAXAにより高い優先度で採択された。また、過去30年以上の成層圏重力分離と空気年齢の変動について2次元及び3次元モデルシミュレーションと組み合わせた解析を推進し、新たな知見が得られている。COS濃度については船舶による試験観測と標準の確立、中赤外レーザー分析計を用いた連続観測手法の開発、COS同位体比の高感度分析手法の開発がそれぞれ順調に進捗している。O2の安定同位体比は大気中の極微小変動を検出できていることが強く示唆され、モデルを用いた評価と組み合わせて論文投稿に至っている。以上から、全体として概ね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
各種大気成分の広域観測と標準ガス開発、及び大気輸送モデルによるシミュレーションを当初計画通りに推進する。研究組織について、定年及び異動のためR6年度より分担者が2名減るが、観測サイトの維持と分析の引き継ぎについて代表者と分担者の間で事前調整を十分に進めており、広域観測を維持することが可能である。サブテーマ毎に緊密な打合せを行い、全体としてもミーティングを持つことで認識の擦り合わせを行って、進捗が認められた内容から成果発表を進めていき最終年度までに包括的な統合解析を進めるべく効果的なエフォート・予算配分を行なう。分析・解析にについて、実験補助員の雇用により研究者の負担を減らし成果創出にウェイトを割けるよう調整する。
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