研究開始時の研究の概要 |
コンドリュールにおいて溶融時のメルトからの主要元素Fe, Mg, Siの蒸発に伴う同位体分別がほとんど見られないため、元素の再凝縮プロセスが提案されている。蒸発凝縮反応の進行の程度は各コンドリュール形成モデルで大きく異なるため、コンドリュールメルトの蒸発凝縮挙動は形成プロセス制約のための重要な要素となる。しかし、蒸発凝縮挙動の定量的な実験研究はほとんどおこなわれておらず、更に多くのコンドリュール形成理論モデルにおいて蒸発凝縮反応は考慮されていない。本研究では、コンドリュールメルトの蒸発凝縮実験と各コンドリュール形成理論モデルを連携させ、コンドリュール形成プロセス及びその形成環境を決定する。
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研究実績の概要 |
本研究ではメルトからの主要元素Fe, Mg, Siの蒸発に伴う同位体分別が、高温を経験したコンドリュールでは見られないという事実に着目し、コンドリュールメルトの蒸発凝縮実験と各コンドリュー ル形成理論モデルを連携させることにより、コンドリュール形成プロセス及びその形成環境を決定することを目的とする。 上記目標達成のため、メルトの蒸発と凝縮を左右する原始太陽系円盤の主要ガスであるH2, H2Oの混合ガスを流した環境下での高温実験を実施する必要がある。本年度は、低圧のH2-H2O混合ガス環境を再現可能な装置構築のため、大気での加熱を目的とした高温加熱装置を真空仕様への改造をおこなった。具体的には、炉心管上下部分をOリングを用いてシールが可能な設計をおこない、ガス排気系を取り付け本実験において十分な真空度を達成させた。またガス導入系部分を増設した。ガス導入系では、ボンベからのH2ガスをフローガスとして、常温のH2O水からの蒸発ガスを用いて混合ガスシステムを構築した。H2Oの質量減少量から、全体のガス流量に応じてH2/H2O比を~200から400で制御することが可能となり、恒常的にH2-H2Oガスを真空炉内に流すことが可能となった。また太陽系元素存在 (Anders and Grevesse, 1989) に基づいて模擬コンドリュールメルトを作成した。
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