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ウィトゲンシュタインの「心理学の哲学」の分析を通じた心の哲学の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K00003
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01010:哲学および倫理学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

山田 圭一  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (30535828)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワード心理学 / 心の哲学 / ジェームズ / 感情 / 意味体験 / 直接知覚説 / ウィトゲンシュタイン / アスペクト / 二次的意味
研究開始時の研究の概要

本研究は、「心理学の哲学」(『哲学探究』第二部)において示されているウィトゲンシュタインの「心の哲学」の全体像を心的概念の多義性・自他の非対称性・反還元主義という観点から明らかにすることを目指す。そのために、下記の三つの方向の研究を組み合わせていく。
(ⅰ)彼のテキスト解釈を通じた心的概念に固有の文法の解明
(ⅱ)「心理学の哲学」というテキストの形成過程の文献学的解明
(ⅲ)当時の心理学への批判の検討

研究実績の概要

2023年度はウィトゲンシュタインの心理学批判の眼目を理解するために、当時の心理学について言及しているテキストの収集と分析を行った。その結果として、まず最も頻繁に言及されているのがウィリアム・ジェームズであり、そのなかでもとりわけある語(”if”)を発するときや聞いたときに特有の語の感じについての考察や、身体状態の変化の感じとして感情を捉える見解(いわゆる「ジェームズランゲ説」)についての考察が中心となって『哲学探究』第二部(およびその草稿となった手稿やタイプ原稿群)につながっていることを明らかにするとともに、そこにはジェームズに対する肯定と否定の往復運動が行われている点を文献学的に裏付けた(基本的にはジェームズの着眼点と問題への切り込み方に対しては賛同しながら、「感じ」を感覚と類比的に捉えている点に対して批判的であり、それに代わるものとしてアスペクト(対象の捉え方)が提示されているのではないかという見通しを立てている)。
第二に同じくウィトゲンシュタインが心理学に対して言及しているテキストを収集し、分析することによって、彼の心理学一般に対する批判が(1)心理学的な用語を定義によって一義的に定める点、(2)心理学的な方法論的によって心に対する問題を解決しようとしている点に向けられていたことを明らかにした。そしてこれらの批判に対するカウンターとなるのがウィトゲンシュタインの心の哲学の多元論的側面と概念的問題と経験的問題の区別を堅持する姿勢ではないかと考えている。
以上の研究成果はまだ論文の形にまとめることができていないので、次年度に持ち越したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ウィトゲンシュタインの心理学について言及したテキストについての分析とジェームズの哲学についての分析に思いのほか時間がかかり、本年度はこのあたりを論文の形にまとめることができなかった。次年度はこれをまとめ上げるとともに、ウィトゲンシュタインの心理学批判の眼目についてまとめ上げる年にしたい。

今後の研究の推進方策

本年度は上記の研究成果に加えて、野矢茂樹の哲学における「物」の実在の在り方についての論文を書き、ウィトゲンシュタインの前期『論理哲学論考』における〈世界〉概念の分析についての発表をを行った(それぞれ現段階ではまだ未刊行)。
こちらの成果と本年度行ったウィトゲンシュタインの〈心理学の哲学期〉の文献研究の成果を組み合わせることを通じて、ウィトゲンシュタイン哲学において内なる世界(いわゆる「心」の世界)と外なる世界(いわゆる「物」の世界)がどのように区分されることになるのかを次年度に検討してみることにしたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 悲しみを見るとはどのようなことか ―ウィトゲンシュタインの直接知覚説の検討2022

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 雑誌名

      『哲学論叢』(京都大学哲学論叢刊行会)

      巻: 49 ページ: 1-11

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 意味は体験されるのか─『哲学探究』第一部と第二部の違いを考える2022

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 雑誌名

      『思想』(岩波書店)

      巻: 1185 ページ: 104-119

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 〈討議〉ウィトゲンシュタインを読むとはどういうことか2022

    • 著者名/発表者名
      鬼界彰夫・野矢茂樹・古田徹也・山田圭一
    • 雑誌名

      『思想』(岩波書店)

      巻: 1185 ページ: 5-34

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] フレーゲからの手紙 ―なぜ『論考』は「世界は事実の総体である」から始まらないのか?2024

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 学会等名
      第93回ウィトゲンシュタイン研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 〈謙虚〉という徳(「日本の徳概念に根差した徳倫理学と徳認識論の可能性」WS) 山田圭一2023

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 学会等名
      第15回応用哲学会 2023年
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 「公共」的な見方とは何か ―学習指導要領を哲学的に問い直す―2022

    • 著者名/発表者名
      山田圭一
    • 学会等名
      第73回日本倫理学会WS「初等 ・中等教育に対する倫理学の貢献可能性」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 徳の教育と哲学 : 理論から実践、そして応用まで担当:共著, 範囲:第11章 情報教育と徳(112-121頁)2023

    • 著者名/発表者名
      立花幸司
    • 総ページ数
      180
    • 出版者
      東洋館出版社
    • ISBN
      9784491053783
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 実践の論理を描く(分担執筆「第12章 レッスンのなかで見るということ―哲学とエスノメソドロジーの交差点」、236-251頁、「コラム 哲学と実践の論理─言語哲学の観点から」、210-211頁)2023

    • 著者名/発表者名
      小宮 友根、黒嶋 智美
    • 総ページ数
      352
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326603572
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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