研究課題/領域番号 |
22K00004
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20434607)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | メタ哲学 / 自然主義 / 実験哲学 / 概念工学 / 哲学方法論 / 分析哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
分析哲学においては、哲学の主な目的は概念の分析だと考えられてきた。しかし、概念分析という方法論に対しては、近年、理論的および経験的批判が投げかけられている。本研究では、これに代わる分析哲学の方法論として、1. 実験哲学の手法を用いた概念分析、2. 自然科学と連続的な営みとしての自然主義的哲学、3. 概念工学としての哲学という3つの可能性に着目し、個別的問題への適用を通じて、これらの新たな方法論の可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
研究計画に挙げた3つの分野について、2023年度はそれぞれ以下の研究を実施した。 自然主義哲学に関しては、そのケーススタディとして人工知能の哲学に関する研究を行った。その結果明らかになったことは、深層学習AIをはじめとする現在の人工知能の社会における役割について考える際には、主体としての人工知能と道具としての人工知能という対比が有効であるということや、汎用人工知能の実現には依然としていくつかの原理的困難が残されているということである。これらの成果は、編著論文集『人工知能とどうつきあうか』および単著『人工知能の哲学入門』として公刊された。また、2024年3月に香港大学で開催された国際ワークショップにおいても、これらの成果に関する講演を行った。 実験哲学に関しては、海外特別研究員として受け入れたトーマス・ペルツラー氏とこれまで行ってきたニーズ概念に関する共同研究の分析に取り組んだ。これまで収集したデータの分析によって明らかになったことは、基本的ニーズ概念の中核をなす内容には文化を超えた普遍性が見られるということである。今年度は、その成果の一部に関して、共同研究者の苫米地飛氏およびペルツラー氏とグループダイナミクス学会で発表を行った。 概念工学に関しては、よい意図をもって行う概念工学も個人の意思決定の自律性を脅かしうるということや、このことの是非を考える上ではナッジとの比較が重要な手がかりとなるということをについて検討した。その成果は、科学基礎論学会2023年度大会におけるワークショップ「概念工学の実装とその倫理」における提題「概念工学と自律の問題」として発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に挙げた3つの領域、すなわち自然主義哲学、実験哲学、概念工学のそれぞれについて研究を進めることができており、学会発表や書籍の出版という形で一定の研究成果も挙がっているため、研究計画は順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では自然主義哲学に関する研究がもっとも進んでいるため、最終年度は実験哲学および概念工学に関する研究にこれまでよりも多くの時間を割くことを目指す。具体的には、実験哲学に関しては、ペルツラー氏らとこれまで進めてきた実験哲学研究の成果を論文化することを目指し、概念工学に関しては、これまで予備的に考察を進めてきたいくつかのケーススタディの成果を論文化することを目指す。
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