研究課題/領域番号 |
22K00023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
林 誓雄 福岡大学, 人文学部, 准教授 (20736623)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | クリスティン・スワントン / 多元主義 / エウダイモニア主義 / ヒューム / ニーチェ / 徳倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「規範倫理学理論の一つである徳倫理学は、応用倫理学へといかにして架橋されうるか」という問いに答えることを通じて、規範倫理学と応用倫理学双方の理論的な発展に寄与することを目指す。具体的には、本研究では、最新の徳倫理学および応用倫理学についての研究を踏まえた上で、価値観の多様化が進む現代に通用し、また、功利主義や義務論に比肩しうるような、実践的な徳倫理学理論を構築することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本年度は研究計画に沿い,②スワントンの多元主義と「他の徳倫理学理論との比較検討」を実施した。とりわけ,今回その比較の相手として俎上にあげたのは「プロネーシスによる徳の統括」を掲げるエウダイモニア主義(アリストテレス流の徳倫理学:ロザリンド・ハーストハウス)である。徳倫理学の代表的な理論の最先鋒であるエウダイモニア主義には,これまで数多くの批判が,他の徳倫理学理論から寄せられてきた。そこでまずは,エウダイモニア主義に長らく向けられてきた「利己主義/自己中心的」という批判に,エウダイモニア主義がどこまで耐えられるのかを,先行研究を踏まえながら検討した。 次に,この「利己主義/自己中心的」という批判に関連して,申請者は独自に,エウダイモニア主義にとっての最重要な論点の一つである「徳」と「幸福」との関係に注目し,「悲劇」の考察を踏まえながら,「悲劇」の場面においてエウダイモニア主義は,重大な欠陥を抱えることになることを指摘した。その上で,上述のエウダイモニア主義に向けられる諸批判には,スワントンの多元主義であれば応答が可能であることを示したが,しかし他方でスワントンの多元主義が,多元的で直接的な徳理解を前提としているために,もはや「徳」倫理学/理論としての位置付けに揺らぎが生じてしまうのではないか,ということも,あわせて指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,研究計画に記載しているうちの,2年目に実施すべき課題である②「他の徳倫理学理論との比較検討」を,とりわけ2-1「相対主義的な限界の問題」とあわせて考察することができ,それについての発表・論文公表も実施できた。そのため,本研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,順調に計画を消化しているため,今後は研究計画に記載の通り,スワントンの多元主義と他の主義をあわせて,2-2「差別・格付けの正当化問題」にどのように応じることができるのか,検討する。そのためにはまず,そもそも「差別・格付けの正当化問題」とはどのような問題であるのかを,詳細に分析した上で,そこで指摘される徳倫理学に対する批判の論点を析出し,それぞれの徳倫理学の主義主張が,それぞれどのように応じうるのかを考察する。あわせて,多元主義と他の主義とで,いずれの理論が最も先の批判に有効に応じているのかを,検討する。
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