研究課題/領域番号 |
22K00043
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岩田 圭一 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (00386509)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | アリストテレス / カテゴリー / 実体 / 述語づけ / 基体 / 変化 / 運動変化 / 自体性 / 存在論的優位性 / 或るこれ / 数的一性 / 形而上学 / 第一哲学 / ウーシアー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アリストテレス『形而上学』における第一哲学の中心概念である「ウーシアー(ousia)」に焦点をあて、『形而上学』中心巻(ΖΗΘ巻)およびΛ巻のウーシアー論、関連する論理学的著作と自然学的著作の読解を通じて、「ウーシアー」の多様な用法について考察し、この語にどのような訳語を与えるべきかについて一定の見解を提示することを目指す。 諸属性が述語づけられる基体としてのウーシアー、諸属性など他のものにとっての原理・原因としてのウーシアーという大枠の理解を軸に、個々のテクストの文脈に即して「ウーシアー」の意味を理解し、とくに原理・原因としてのウーシアーについて適切な訳語を考案することを目指す。
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研究実績の概要 |
アリストテレスの論理学的著作、自然学的著作、『形而上学』などを手がかりにして「ウーシアー」という語の意味合いを明らかにすることが本研究の目的であるが、本年度は、ウーシアーが変化するものであることに焦点をあて、とくに『カテゴリー論』第5章と『自然学』第5巻第1章における変化(メタボレー)ないし運動変化(キーネーシス)に関する論述を取り上げて考察を行い、論文として発表した。変化するものとしてのウーシアーはもちろん個物としてのそれであり、『カテゴリー論』においては第一の実体がそのようなものであると考えられる。『カテゴリー論』における第一の実体についての説明は、それが種、類、属性にとっての究極的な基体であることを強調したものとなっているが、この説明はいわゆる裸の基体としての実体という考えをもたらす可能性がある。実体カテゴリーのものを付帯的な属性から区別し、実体カテゴリーのうちで類を種に分割し、種を個に分割するという仕方で第一の実体は見出されるが、種、類、属性に対する第一の実体の存在論的な優位性の主張も考慮に入れるとき、第一の実体は、種、類、属性から区別された存在であるように思われる。しかしアリストテレスは、裸の基体としての実体という、問題のある存在を立てようとしていたのではない。『カテゴリー論』第5章と『自然学』第5巻第1章における変化の説明から、アリストテレスにとって個物としての実体はそれ自体が変化する具体的なものであるということがわかる。本年度の研究では、これらのテクストを丁寧に読解し、具体的な個物としての実体という考えが確かなものであることを示し、第一の実体の存在論的な優位性の主張が行われる際のアリストテレスの観点(述語づけの理論の観点)に注意するべきであることを明確にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『カテゴリー論』第5章と『自然学』第5巻第1章のテクストの読解を行い、変化に関する説明について考察を行い、アリストテレスがウーシアーとみなすものがさまざまな属性を担った具体的な個物であることを明確にした。『カテゴリー論』に見られる、述語づけの理論の観点に立った存在論的な優位性の主張は、それだけでは、裸の基体としての実体という問題のある考えをもたらす可能性があるが、変化に関する説明まで含めて考えることによって、具体的な個物としてのウーシアーという考えをアリストテレスに帰することができることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、2024年度は、『形而上学』中心巻におけるウーシアー論の重要な箇所を取り上げる予定であったが、「ウーシアー」という、カテゴリーの第一のものの意味合いを明らかにするには、『カテゴリー論』のテクストについてさらに立ち入った考察を行う必要があると考えるに至った。2024年度は、『カテゴリー論』のテクストの読解を中心に研究を進め、「ウーシアー」の意味合いをより深く理解し、訳語の問題について一定の見解を提示することにしたい。
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