研究課題/領域番号 |
22K00044
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
本田 康二郎 金沢医科大学, 一般教育機構, 教授 (40410302)
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研究分担者 |
山本 勝也 山口大学, 経済学部, 准教授 (30547956)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 新自由主義 / 科学技術政策 / ロボット技術 / 国際会議 / 日本文化 / 神道 / 世界経済 / 経済理論 / 医療倫理 / 生命倫理 / 軍事研究 / ロボット倫理 / トランスヒューマニズム / 統治性 / 科学技術倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
身体的能力や認知能力及び知覚能力を強化できる技術が開発され、人間の能力限界を超えられるようになった時、我々はどのような社会変革を迫られるのであろうか。フランシス・フクヤマは自由で民主的な社会を人類史の最高の政治形態と考えたため、それを脅かす生命操作や人体改造を全面的に批判するバイオコンサバティズム(生命保守主義)の立場をとった。我々はこれに対して一定の留保を設ける。患者や高齢者を社会的活動へ復帰させるため、つまり身体機能を回復させ社会的紐帯を強化するためならば、科学技術は大いに振興されるべきである。この立場を「身体保守主義」と名付け、これを本研究の主張点としたい。
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研究実績の概要 |
我々の研究グループ(本田、山本、稲井)は、毎週1回約3時間のミーティングを継続して続け、新自由主義の関する最新研究を読解し、共有してきた。そして、今年度はその成果を発表しはじめることが出来た(出版物参照)。 研究代表者の本田は、2023年9月にドイツ日本研究所(DIJ)で行われたワークショップ “Discursive and material dimensions of the digital transformation: Perspectives from and on Japan” に招待され、日本のロボット文化の特徴とロボット技術のトランスヒューマニズムへの応用可能性について、神道神学との関連から論じた。この発表には反響があり、コンラード・アデナウアー・シュティフトゥング日本事務局(KAS Japan)のブラウアー代表に呼ばれて、より詳しい内容を説明する機会も得た。 新自由主義体制の中で、我々は競争的主体として訓育されていく。競争環境におかれた人間は自身の能力をいかに高めるかが人生の最大課題となる。人体に類似する人工物として開発されたロボット技術が、やがて体内に埋め込み可能になってくると、それを導入した個人は自分の生まれ持った才能を超える力を得る可能性が高い。地上を開発しつくした資本主義の運動は、現在インナースペース(体内)とスペース(宇宙)にその触手を伸ばしつつあり、ロボット技術は人々の欲望をそこに向けさせる技術開発としても解釈可能である。 欧州から見ると、日本は内閣府の「ムーショット計画」を代表として、こうした運動の急先鋒のように見えているようだが、神道的な伝統を考慮すると、日本人がロボットに親しみを持つことが、そのまま人体改造につながるとは考えづらい。2023年度は、このことを発信し、国際的な議論をすることができたことが最大の成果であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新自由主義という概念が現在どのような外延と内包を持っているのか、初年次から調べ始めたわけだが、この作業が思いのほか広く深い研究領野の探索になっており、新自由主義とトランスヒューマニズムを関連付ける糸口をまだはっきり見出せていないことが、研究が遅れている理由である。
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今後の研究の推進方策 |
研究が遅延しているとはいえ、当初の計画にはなかった視野も開けてきており、研究がスタックしているわけではない。知識が社会にどう配分されるのか、そしてどう配分されることが正しいのかという新自由主義が当初から持っていた問題圏を発見することが出来たので、これを科学技術政策や技術哲学の問題として論じ、昨今のトランスヒューマニズム運動の評価に繋げていくつもりである。 現在、これまでの研究成果を出版していく準備をしている。その中には著作の翻訳も含まれている。また、この研究グループの成果を発信するための独自のHPの作成を企画しているところである。
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