研究課題/領域番号 |
22K00046
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
竹内 綱史 龍谷大学, 経営学部, 教授 (40547014)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 歴史主義 / 自然主義 / ニーチェ / 真理 / ポストトゥルース / 悲劇の誕生 / 分析系 / ニヒリズム / 自然 / ロマン主義 / 唯物論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1870年代ニーチェの自然理解の深化に注目することで、実存主義・ポストモダン・自然主義・出典研究へと分化しているニーチェ研究の現在の諸潮流を統合し、ニーチェ哲学最大の謎の一つ〈前期‐中期断絶問題〉を解決することを目的とする。本研究は、1870年代のニーチェにおいてロマン主義的自然観と唯物論的自然観が衝突しており、同時代の諸思想や自然科学を摂取しつつそれら自然観の調停の努力をし、独自の立場へと到達した道筋を示す。ニーチェのその努力が、新カント派などと軌を一にしていることや、現代の人生の意味論・哲学的自然主義・ポストモダン的解釈理論などの総合という問題にも繋がることも明らかになるだろう。
|
研究実績の概要 |
2023年度の研究実績は主に2点に分けられる。①ニーチェ哲学における「自然主義」と「歴史主義」の関係について、②ニーチェの真理論について。 ①自然主義と歴史主義という対立は、19世紀から20世紀にかけての哲学の基本対立であり、ニーチェはまさにその対立のなかで哲学していたわけだが、本研究の対象である前期(1870年代)のニーチェは公刊著作においては歴史主義的立場をとっている一方で、遺稿においては自然主義の可能性を探っていた。その自然主義が中期以降(1880年代)に前景に出てくることになるのだが、その経緯は、前期の公刊著作で前面に出ていた歴史主義的なものを自然の中へも読み込んでいくというものではないか、という仮説が立てられうる。その仮説を検証するために、まずは前期の歴史主義的立場(特に『生に対する歴史の利と害について』)が中後期とどう繋がるかを改めて検討し、10月の東北哲学会で報告した。 ②ニーチェの真理論は相対主義的であり、現代のポストトゥルースに影響を及ぼしているとたびたび指摘されているが、それは誤解であって、むしろ科学的探究に範をとった真理理解が中心ではないのかということを検討した。「パースペクティヴィズム」という(後期)ニーチェの認識論的立場は、「すべては解釈である」という言葉とともによく知られているが、それは「恣意的な解釈がいつでも許される」というような意味では全くなく、絶対的真理への到達不可能性とわれわれの認識の常なる更新可能性を言っているものである。それはつまり、「より正しい」認識への探求可能性がいつでも担保されていることを意味している。現在この問題を一つの中心テーマとした著作を執筆中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他の業務が当初の予想以上に忙しく、あまり本研究に集中する時間が取れなかった。また、うまく都合がつかず、2023年度は国際学会での発表もできなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は2023年度の口頭発表の論文化と執筆中の単著の完成を急ぐことになるが、それ以外にすでに国際学会での発表や国内学会シンポジウムでの提題などが決まっており、本研究と密接に関連するものばかりなので、順次進めていきたい。
|