研究課題/領域番号 |
22K00053
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 基 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00272120)
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研究分担者 |
室屋 安孝 神戸女子大学, 文学部, 教授 (10964017)
渡辺 俊和 國學院大學, 文学部, 准教授 (20822159)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ディグナーガ / ジネーンドラブッディ / インド仏教論理学 / テキスト校訂 / 他者のための推理 / 集量論 |
研究開始時の研究の概要 |
6世紀前半頃に活躍したインドの仏教哲学者ディグナーガ(陳那)は、インドの哲学界ばかりか東アジアの仏教思想にも多大な影響を与えた仏教哲学史上最重要の哲学者の一人である。彼の主著が、仏教論理学を基礎づけた大著『集量論』(じゅりょうろん)である。本研究は、梵語原典が失われ漢訳もなくチベット訳のみで伝承されているこの著作の内容を、特にその形式論理学に関わる章に焦点を当て、近年中国で発見された註釈書『集量論疏』の梵語原典写本の精密な解読研究を通じて明らかにすることを主眼とする。
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研究実績の概要 |
令和5年度前半は主として、本研究課題(『集量論疏』第3章梵文校訂テクストの出版準備)と密接に関連する『集量論疏』第4章の校訂本の出版準備の補助作業として、ディグナーガの『集量論』第4章との並行箇所を多く含む『正理門論』喩例段を検討し、8月中旬の本科研グループの研究会によるオンラインでの検討会(令和5年度第一回研究会)を経て、その成果を研究代表者が台湾の国立政治大学主催のオンライン・ワークショップで発表した。 9月には研究代表者はコロナ禍発生以来久しぶりに国際研究プロジェクトの相手先であるオーストリア学士院アジア文化宗教史研究所を訪問し、関連のワークショップに参加すると共に、本研究課題遂行のための今後の協力体制について打合せを行った。 また同月には本課題研究の先駆けとなる『集量論疏』第6章校訂本(本研究課題の代表者と分担者の3人を共著者とする)が出版された。これに伴い、年度後半には同校訂本の電子テキストの分綴の再確認を行いKWIC索引作成の準備をすると共に、正誤表の作成を行った。1月には京都での対面での研究会(令和5年度第二回研究会)を開催し、上記校訂本の和訳出版の準備作業と、『集量論』第6章の還元梵文公表のための最終確認を開始した。 他方、本研究課題の眼目である『集量論疏』第3章「他者の為の推理」章に関しては、令和4年度末の3月に行った研究会以来、研究グループとしての共同検討を行う機会はなかったが、代表者を中心に、その後半部の校訂の最終確認を進めた。 それ以外にも、研究チームの各メンバーは、各自で関連するテーマでの学会発表を行うとともに、各々国際共著の論文集に研究課題に関連した英語論文を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記のように令和5年度は、待望の『集量論疏』第6章の梵文写本校訂本の出版を漸く実現することができたが、それに伴って発生した様々な関連作業や、引き続き予定されている同書第4章の出版準備に時間を費やしたため、肝心の『集量論疏』第3章「他者の為の推理」章校訂本の出版準備には必ずしも十分な時間を宛てることができなかった。研究会もオンラインが主で、当初予定していた対面での研究会・打合せは一度しか開催できず、このため『集量論疏』第3章校訂テクストの出版準備の具体的作業は予定分量のごく一部しか遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、分担者の一人が本務校でのサバティカルを獲得し外国滞在となったが、滞在先が国際共同研究の相手先である上記のオーストリア学士院アジア文化宗教史研究所であるという好条件を生かして、先方の共同研究者とも綿密に連絡を取り合いながら研究プロジェクトの中心課題である『集量論疏』第3章の後半の他学派批判(paramata)の部分の全体について、校訂テクストの出版準備の具体的作業を終えたいと考えている。また併せて、令和6年度内に、『集量論疏』第4章校訂本の出版のための最終作業を完了したいと考えている。
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