研究課題/領域番号 |
22K00065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
岸野 良治 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (40760137)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 有部律 / 根本説一切有部律 / 密門 / 学如 / 戒律 / 有部律異形問答 / 根本薩婆多部律攝 / 律攝 / 學如 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、学術的な注目度が高い「根本説一切有部律」という戒律テキストの包括的な研究の実現に向けて、近代以降に再刊されていない江戸期の日本人学僧たちが撰述した同律に関する文献(写本・版本)を、所在が確認されている寺院や図書館において実見調査し、それらの書誌情報と概要を明らかにする。またその一つである學如(1716-73)が編纂した義浄訳『根本薩婆多部律攝』の版本の多くに、近世後期の学僧たちによる詳細な注釈が書込まれている点に注目し、その書込みを含めた全文を翻刻・解読するとともに、その書込みを分析することで、近代以前の日本において「根本説一切有部律」がいかに理解・伝承されていたかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度は、とくに兵庫県における寺院を中心に資料調査を5度おこなった。これらの調査においては特筆すべきような新資料の発見には至らなかった。一方で、既に入手済みの資料の解読を通じて幾つか新たな知見が得られた。少し具体的に言うと、近世後期に「根本説一切有部律」の重要性を説いた学僧たちの、いわゆる「部派」についての考え方の特徴が見え始めてきたのである。その詳細については、現在執筆中の論考において発表予定である。 また、具体的な研究活動の実績について言えば、昨年度は、国内で開催された仏教学の学術大会や国際シンポジウムに参加するとともに、日本国内の大学において講演会に2度呼ばれ、それらの場において研究成果を発表した。成果物としては、講演会の文字起こし(東アジアにおける「根本説一切有部律」の伝承について論じたもの)以外に、学術雑誌(『日本佛教学会年報』)に論文を一つ投稿した。さらには、編者として共著(『宗教者として生きるということ:戒律研究へのいざない』臨川書店)の出版事業に携わっており、そこでも二つの論考を寄稿した。それらは、まもなく出版される予定である。そしてまた、それらと並行して、新たに二つの写本に基づきながら、学如の『恭答亀龍主常塔上人』の訳注研究を進めており、こちらが半分ほど完成している。さらに言えば、昨年度は、これまでの研究活動の副産物として、これまでに参加したことのなかった研究会からの招待を受ける機会が度々あり、それへの参加を通じて、新たな知見が得られるとともに、新たな研究者のネットワークを形成することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況は「おおむね順調」である。Covid-19による災禍による移動等の制限が緩和されているため、資料調査旅行も大きな問題なく進めることができている。資料の解読もまずまずの進展であり、研究成果を発表する機会も度々得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、これまで同様に寺院や博物館等における文献資料の調査とそこで得られた資料の整理と精読、そして研究成果の発表を積極的におこなっていきたい。
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