研究課題/領域番号 |
22K00068
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (20230427)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 移民 / マレーシア / 多元社会 / 民族集団 / 宗教間対話 / 宗教多元主義 / マレー半島 / 宗教間理解 / シンガポール / 包摂的共生秩序 / 宗教多元社会 / 共存 / 複合社会 / 多元的共存 / 宗教紛争 / 共生秩序 |
研究開始時の研究の概要 |
日本国内の国際化の現状を踏まえ、本研究では、宗教間関係や異宗教間対話に精通する現地専門家と協力し、対象地域における宗教多元的状況を歴史的経緯と現実の生活世界の両面から精査して、不和や対立の要因および官民双方の宗教和諧と異宗教・異文化理解の取り組みにつき網羅的に調べ上げる。その上で、当該地域の国民統合・移民統合および平和的共存の手法と現状とを批判的に吟味する。私的領域への国家の戦略的な介入が惹起する弊害や諸問題なども検討課題となる。当該地域の諸事例の検証は、日本の未来に示唆を与えるとともに、必然的かつ窮極的に宗教・文化と世俗権力をめぐる普遍的問題へと我々を導くことになる。
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研究実績の概要 |
本研究プロジェクト(5年計画)の第2年目として、2023年度は、前年度に続いて主たる対象地域に設定した東南アジアのマレー半島南半部、中でもそのほとんどの領域を占めるマレーシア連邦で集中的に調査・研究をおこなった。具体的には、2023年11~12月に、マレーシア北部にあるペナン州の州都ジョージタウン市に滞在し、道教寺院を営む華人系インフォーマントの全面的な協力を得て、対岸のバタワース市等も含む華人系移民の宗教実践(仏教と道教)とインド系移民(とくにタミル系移民)の宗教実践(ヒンドゥー教)に関わる諸施設・諸組織体を訪問し、インタビュー調査などにも従ってきた。 その時の調査において、東南アジアの華人系およびインド(タミル系)系のディアスポラの宗教実践間に見られる共存関係・互助関係や両者の儀礼や神格レベルにおけるシンクレティズムの諸事例について興味深い現象を見出すことができた。マレーシア・ペナン地域の華人社会における宗教伝統と実践事例については、2023年の日本宗教学会において「南洋華人の斗母・九皇爺崇拝-マレーシア・ペナンの事例を軸に-」のタイトルで、すでに研究発表をおこなっているが、この発表以後に渡航して得た新知見を見出し得たので、これについても考察を進め論攷に纏めて、できるだけ早い時期での成果発表に結びつけていきたいと考えている。 さらに、2023年度に調査活動において、ペナン州ジョージタウン市の印刷業者とパイプを築くことができ、今後の成果公開のために廉価での出版が可能となったことも付け加えておきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による進捗の遅れは、パンデミックの終息によって2023年度を以てほぼ解消されたことで、2023年度はおおむね計画通りの調査・研究日程をこなすことができた。ただし、次項に述べるような経費増の問題があり、渡航回数や場所に制約が加わった形である。しかしその分、一箇所において集中的な調査に従う形態に改めたことで、ほぼ所期の目的を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍以降の問題として、世界的な物価高による渡航にかかわる移動費等の諸経費の上昇があり、当初計画をそのまま遂行するのに支障を生じつつある。とりわけ、本研究課題の重要な対象地域であるシンガポールの物価上昇(とくに宿泊費)が甚だしく、また日本円の為替レートに不利な状況が重なって、2023年度はシンガポールでの調査を断念し、マレーシアでの調査にとどめざるを得なかった。2024年度は、そのあたりの動向を見極めながら、シンガポールでの調査活動を再開したいと考える。 ペナン州で第2副首相を務め、かつヒンドゥー寺院管理団体であるPHEB(Penang Hindu Endowments Board)のトップを担っていたタミル系の政治家が任務を解かれたことから、その組織への取材に支障が生じていたので、それを再確立するのが研究進展の鍵の一つを構成する。2024年度は、それも視野に研究活動を広げていきたい。
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