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問答形式の考察を通じた前近代イスラーム思想および社会の構造に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00071
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01030:宗教学関連
研究機関福岡女子大学

研究代表者

近藤 洋平  福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (20634140)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
キーワードイスラーム / 思想史 / 哲学 / 神学 / 問答形式 / アラビア語 / 問答 / 法学
研究開始時の研究の概要

本研究は、4年間の計画で、文法書や法学書、また神学書など、前近代のイスラーム世界で著されたアラビア語文献資料の読解を通じて、イスラーム思想の論理構造、子弟の教育方法、そして共同体の組織運営と秩序維持を、問答という観点から考察するものである。考察にあたっては、「何を」「どのように」問答するか、という観点を主たる軸の一つとし、イスラーム世界における問答の役割や特徴を多角的・総合的に提示する。

研究実績の概要

本研究は、4年の期間で、前近代のイスラーム世界において著されたアラビア語文献資料の読解を通じて、イスラーム思想の論理構造、子弟の教育方法、そして共同体の組織運営と秩序維持を、問答という観点から考察するものである。
本年度は、本研究課題の目的として挙げたもののうち、(1)問答の分析によるイスラーム神学の論理、および(2)問いを通じた共同体の秩序維持に目を向けた。(1)について、イスラーム世界において神学に相当する『宗教原理の書』の冒頭には、認識論に関する章が置かれ、問いを含む言語に関する内容が論述されている。そして自派の主張や立場を論じた後に、問答の形で自派の説を強化し、他派の説を論駁する、という形式が取られている。本年度の具体的な活動としては、イスラームの世界観に特徴的な議論である原子論を取り上げ、先行研究を批判的に読みつつ、主にスンナ派、イバード派そしてムウタズィラ派の神学著作を読解した。物質を構成する最小の原子数、空間、時間の本質などについて、各派はどのような問いを設定しているか、論敵がどのような問いを提示すると想定しているか、問いに対してどのような観点から答えを提示し、また論駁しているかを考察した。
一方(2)については、西暦11世紀から13世紀の東アフリカ、キルワ島に存在したイバード派共同体を取り上げた。イバード派の中心地であるアラビア半島や北アフリカから遠く離れ、またイスラム教徒が少数派であった現地において、イバード派に属した人びとは、どのようにイスラーム、そして自派の信仰を保持したか。この研究上の問いについて、問答形式から構成された書簡を読み、現地の人びとの信仰の保持、そして共同体の秩序維持に、問答形式のこの書簡が重要な役割を果たした可能性を指摘した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、本研究課題の目的である、(1)問答の分析によるイスラーム神学の論理、および(2)問いを通じた共同体の秩序維持に目を向けた。(1)については、具体的な成果を公表することができなかったものの、当初から複数年かけて取り組む予定であった。次年度以降も引き続き考察していくことで、より手堅くそして深みのある研究成果となると考えている。一方(2)については、共同体の秩序維持に問答形式による書簡が重要な役割を果たしていた可能性を指摘することができ、本研究の重要性を認識した。

今後の研究の推進方策

本年度の実績から、研究課題の諸目的のうち「問答の分析によるイスラーム神学の論理に関する考察」については、より重点的に時間を割く必要があることを確認した。そのため、研究の他の目的である「子弟の教育における問答の役割についての考察」、また本年度も取り扱った「問いを通じた共同体の秩序維持についての考察」にも目を向けながら、この「問答の分析によるイスラーム神学の論理に関する考察」により多くの時間を割き、アラビア語資料中の議論を丁寧に読んでいくことを計画している。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] An Introspection of Religious Identity across the Indian Ocean: Re-reading the Kilwa siras2023

    • 著者名/発表者名
      Yohei KONDO
    • 学会等名
      12th International Conference on Ibadi Studies: Far beyond the Atrantic Literary Production, Exchange, and Material Culture across Brazilian and Ibadi-Omani History
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Introspection of Religious Identity across the Indian Ocean: Reading 'Ali b. Muhammad b. 'Ali al-Mundhiri’s Works2023

    • 著者名/発表者名
      Yohei KONDO
    • 学会等名
      The 1st International Symposium of the Indian Ocean World Studies "Discovering the Indian Ocean World: “Gyres”, Indian Ocean and beyond", National Museum of Ethnology, Japan
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] イバード派における「講義録」の作成と利用2022

    • 著者名/発表者名
      近藤洋平
    • 学会等名
      科研費基盤(B)前近代イスラーム世界における「組織」の成立に関する比較研究成果報告公開講演会、福岡女子大学
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] オマーンの信仰と宗教実践2022

    • 著者名/発表者名
      近藤洋平
    • 学会等名
      「深掘り! オマーン・スルタン国」駒場中東セミナー第6回、東京大学駒場キャンパス
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] イスラームの内と外から(分担:イバード派の内と外―救済資格に関する議論について―、403-424頁)2023

    • 著者名/発表者名
      近藤洋平(分担執筆)、森本一夫、井上貴恵、小野純一、澤井真(編)
    • 総ページ数
      680
    • 出版者
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      4779517168
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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