研究課題/領域番号 |
22K00087
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金丸 裕一 立命館大学, 経済学部, 教授 (80278473)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 日中キリスト教交流史 / 社会的福音 / 友和会 / 唯愛社 / 非戦運動 / アジア・キリスト教史 / 日中関係史 / 信仰 / 戦争 / 他者理解 |
研究開始時の研究の概要 |
戦前・戦時期東アジアにおいても報道や伝聞などを通じて各人の心中に漠然とした「他者像」が立ち現われ、隣人理解の在り方を左右するが如き場面が頻発していた。本研究においては、「隣人愛」や「愛敵」「平和」の精神を信仰的要諦に据えたキリスト教界における他者像形成の動態について、日中両国間の事例を主軸に考察する。 とりわけ、①「愛」や「平和」という信仰的タームを用いて他者排除の論理が語られるようになったか;②言説と行為との間にどれほどの距離が存在したか;③同時代の日中両国キリスト教界の他者理解に共通性や相違点が見られたのか否かについて、テキスト発掘と読解を通じて明らかにしたいと思う。
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研究実績の概要 |
2022年度は、本課題を順調に遂行するために次の活動を実施した。第一に、日本国内で刊行された図書や新聞・雑誌の中で表象された中国像を具体的素材の中に見いだすべく、同志社大学各図書館や関西学院大学、国立国会図書館などでブラウジングによる史料発掘につとめ、その内容を体系的に整理する作業に着手した。デジタル化が進んでいない領域であるため古典的作業が中心となっているが、タイトルだけでは発見できない素材も多く集まっている。第二に、地元の滋賀県で着実に遂行できる対象である近江ミッション(兄弟社)関係の諸史料の中から、地域を舞台とした日中クリスチャン交流史の実態を探る事例を発見して、その考察を開始した。日本語史料の発掘や解読は日本人研究者に課せられた大きな使命であるため、今後も継続して進めたい。 第三に、中国語文献に現れた日本像の変遷について既有の史料の内容を整理するとともに、国内で蒐集可能なものを体系的に閲覧、作成者個人を主語として初歩的な目録を作成した。本年度は、1920年代から30年代にかけての対話をリードした社会的福音派の刊行物を中心に進めた。この過程で、従来は大まかに基督教青年会、乃至はYWCAを通じた交流と評価されてきた動向の背景により強い求心力を持った核としての非戦運動グループ(日本では「友和会」、中国では「唯愛社」)があり、欧米において同様の運動を進めたグループ(fellowship of reconciliation)と連帯しながら、危機下の交流を担った事実を発見した。 なお、これら中間的成果は『賀川豊彦学会論叢』や『立命館経済学』で活字化するとともに、「国際基督教大学アジア文化研究所ワークショップ 東アジアにおけるキリスト教と社会変動」や、「アジアキリスト教交流史研究会近江八幡大会」の場において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナによる疫病流行の影響を被り、海外とりわけ台湾での文献調査と蒐集とを実施できなかった。また、国内での移動も前半期は制限があったため、関西以外での調査が当初の予定通りには行かなかった。ただ幸いなことに、同志社大学や関西学院大学の図書館が閉鎖されることは無かったので、日本語によって記録された史料へのアクセスは確保されている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は海外渡航の安全性が確認された時点で、研究活動が安全かつ自由に遂行できる台湾において所蔵・公開されている諸史料を閲覧して、中国側キリスト者による言説内容をより体系的に知るための作業を行いたい。具体的には、2022年度において当初予定していた台湾における諸機関での調査を本格的に進め、課題と密接に関係する中国語のキリスト教書籍・雑誌の蒐集と分析に努めたいと考えている。また、日本国内で目録公開などが済んでいない諸機関での調査も続行し、史料発掘に基いた議論を展開したい。
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