研究課題/領域番号 |
22K00092
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 嘉幸 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (90420075)
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研究分担者 |
箱田 徹 天理大学, 人間学部, 准教授 (40570156)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ミシェル・フーコー / ポスト68年 / 哲学 / 社会理論 / 社会運動 / ジル・ドゥルーズ / 監獄情報グループ / GIP |
研究開始時の研究の概要 |
ミシェル・フーコーは、1971-72年に監獄情報グループ(GIP)という社会運動を主導し、監獄収容をめぐる様々な問題点を囚人自身に語らせ、その「耐え難いもの」を社会全体に対して問いかけるという実践を行った。しかし、GIPの具体的実践、それがフーコー思想に与えた具体的かつ詳細な影響、同時代の社会に与えた影響は従来の研究ではほとんど解明されていない。本研究は、GIPの実践の特異性を歴史的、思想史的な視点から確定し、その作業を通じて、GIPの実践がフーコーの思想形成、とりわけ彼の「規律権力」概念や彼の「系譜学」(批判的社会理論)の形成に与えた影響を解明する。
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研究実績の概要 |
監獄情報グループ(以下GIP)とは、ミシェル・フーコー、ジャン=マリー・ドムナック、ピエール・ヴィダル=ナケによって1971年2月に設立され、1972年末まで活動した社会運動である。それは、収監者たち自身に監獄の「耐え難い」状況を発言させ、それを社会に知らしめ、同時に、監獄システムに関わる知識人、専門家を動員することを目的としていた。この運動には、ジル・ドゥルーズ、ダニエル・ドゥフェール、ダニエル・ランシエール、ジャック=アラン・ミレール、ジャック・ドンズロ、エレーヌ・シクスーなど、多くの知識人が関与していた。当時はポスト68年の時期に当たり、社会運動が盛んに展開されると同時に、政治活動への警察の取り締まりが厳格化されていた時期であり、そのため、学生や若者の活動家たちが大量に逮捕され、投獄されていた。彼らが大量に監獄に送られることで、それまで知られていなかった、フランスの監獄システムの暴力性、矛盾、機能不全などが社会全体に暴露されていったのである。GIPの活動は、政治囚と普通囚を連帯させ、監獄におけるそれら「耐え難いもの」を社会に知らしめることを目的として開始され、監獄における大量の囚人アンケートを出発点として、その後頻発する監獄暴動の情報収集に積極的に関与していく。今年度は、GIPが発行していた冊子『耐え難いもの』の読解、分析を通じて、GIPとフーコー思想との関係を考察した(本書は日本語に翻訳、刊行予定)。関連成果として Power and Resistance: Foucault, Deleuze, Derrida, Althusser(Verso)、『ミシェル・フーコー』(講談社)を出版した。日本におけるGIPと同様の活動として監獄人権センターがあるが、その代表の海渡雄一弁護士をフーコー研究フォーラムに招聘し、監獄人権センターの歴史と現状についてご講演いただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はフーコー研究フォーラムと共同で研究活動を行っており、公開研究会の開催を通じて研究成果を社会に還元している。今後も、そのような方針で研究活動を続行していく。
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今後の研究の推進方策 |
GIPが発行していた冊子『耐え難いもの』の翻訳、刊行を通じて、研究成果を社会に還元する予定である。また、引き続きフーコー研究フォーラムを通じた研究成果の公開も行っていく。
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