研究課題/領域番号 |
22K00095
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
坂元 ひろ子 一橋大学, その他部局等, 名誉教授 (30205778)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 梁白波Liang Baibo / 諷刺漫画誌 / モダンガール / ジェンダー / 抗日戦争 |
研究開始時の研究の概要 |
中国で近代漫画は世界各地の諷刺漫画誌やファッション誌、岡本一平や左派画家ジョージ・グロス、メキシコのミゲル・コバルビアスらの作品などを通じ、国際的な異文化連鎖の中で育まれた。 1920年代後半には前衛的な漫画家群が出現、長く「文」中心の科挙制度から排除された女性らをもまきこむ力を漫画はもちえ、また近代の抱える問題群も多く投影された。 その中で、漫画家として稀少な女性、梁白波は男性画家の求めるモダンガール形象への抵抗を描いてみせた。抗日戦争時の漫画も、男性漫画家とは一線を画し、プロパガンダを超える芸術性も保った。本研究は、世界初の梁白波を中心にした思想史的手法による中国近代漫画研究となる。
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研究実績の概要 |
中国の近代漫画は世界各地の諷刺漫画誌やファッション誌、岡本一平や左派画家ジョージ・グロス、メキシコのミゲル・コバルビアスらの作品などを通じ、国際的な異文化連鎖の中で育まれた。1920年代後半には上海を中心に前衛的な漫画家群が出現、長く「文」中心の科挙制度から排除された女性らをもまきこむ力を漫画はもちえ、また近代の抱える問題群も多く投影された。その中で、漫画家として稀少な女性、梁白波は男性画家の求めるモダンガール形象への抵抗を描いてみせた。抗日戦争時の漫画も、男性漫画家とは一線を画し、プロパガンダを超える芸術性も保った。本研究は、世界初の、梁白波を中心にした思想史的手法による中国近代漫画研究となる。 本研究では、中国近代漫画を思想史的に研究するという立場から、1930年代を中心とする漫画雑誌を広い意味でのモダニティ表象と抗日戦争期のプロパガンダ漫画とに切断することなく、統合的に把握しようとする。そのために、2022年度は、彩色影印本が出たことで可能となった『時代漫画』(1934―1936年)全巻の比較分析を詳細におこない、また発禁を恐れて同時期に刊行した『万象』などの漫画雑誌とのつきあわせもおこない、それらに含まれる梁白波作品のみならず、同時代の漫画作品との関係をさぐった。これは時間を要する作業で、2023年度も継続することになる。さらに、蒋介石が1935年に発動した新生活運動やそれと呼応した「モダン破壊団」の動きを把握しているが、この動きに十分、注目されていないことから、資料的な発掘につとめたい。また、容姿端麗で「美人魚」ともてはやされ、大物政治家からの接近もあり、ゴシップ種ともなり、漫画家たちがこぞって描いた香港出身の女水泳選手、楊秀瓊に対する雑誌における批判のポジションやそのありかたをはじめ、表象のありかたを考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ流行の影響で、国内外での資料収集や成果のレビューをうけるためのシンポジウム参加に支障をきたしたため。
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今後の研究の推進方策 |
抗日戦争期の漫画雑誌解読・分析を進めるとともに、従来、作成されていなかった梁白波の作品リストを作成する作業を行う。これは梁白波の親族による梁淑媛・梁秀松『懐念白波』(マカオ:中西文芸出版社、2007)の刊行でいくらか進んだとはいえ、文学雑誌の挿絵類などの収集はまだ不十分であり、時間をかけてできるだけ完備したものの作成を目指す。 2023年度中の中国での資料収集が可能かどうかは不透明で(コロナによる封鎖は解除されたが、半月以内の滞在ではビザ不要としていた制度が2023年、変更になり、ビザ取得の関係で、目下は個人での資料収集のための訪中は難しいという)、今年度はまず2021年、香港にオープンした20~21世紀のアジアの視覚芸術に特化した現代美術館「M+」での調査をおこなうこととする。
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