研究課題/領域番号 |
22K00099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
津田 謙治 京都大学, 文学研究科, 教授 (00532079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教父学 / ストア主義 / 宗教哲学 / 古代キリスト教思想 / 夢 / 魂論 / 西洋古代哲学 / 自然学 / キリスト教 |
研究開始時の研究の概要 |
2-3世紀における古代キリスト教の思想家たちは、物体的な世界における非物体的な神の摂理や遍在を説明する際に、ロゴスやオイコノミアなど、ストア主義の中で議論された概念を用いて哲学の教説と対峙し、宗教が信仰だけでなく理性と合理性に適う可能性を追求した。本研究は、神と世界の物体性に関わる自然学的な概念に関係する議論の分析を通じて、宗教的思考と哲学的思考との間の議論の相違を明確にすると共に、両者の間で発展的な議論が成立していたことを示す調和的な視点を描くことを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、事前に提出した研究計画に沿うかたちで、以下の三点に関して研究を進めた。 1、「研究資料の収集」・・・ 今年度は、前年度に企画していたように、4月に入ってすぐに、国内に所蔵のない複数の資料をドイツのテュービンゲン大学とミュンヘン大学で収集した。円安が想像以上に進み、洋書の購入が限られる中、必要な資料を実際に確認した上で、購入やコピーが取れたのは大変ありがたかった。4月に収集した資料は、夏前に基本的な部分を読み込み、以下の学会発表の準備に用いることができた。 2、「研究・学会発表」・・・ 今年度は、予定していたストア主義のテキストの読解と並行しつつ、来年度に取り組む予定であったアレクサンドリアのクレメンスにおける議論の分析に移行し、それを9月の学会発表でおこなった。また、クレメンスの議論が後代にどのように影響を与えたかを分析するために、カッパドキア教父たちのテキストの分析も行い、11月上旬の学会発表で研究成果を明らかにした。これらに加えて、反哲学的立場と捉えられてきたマルキオンという人物におけるストア主義的要素についての分析を、11月下旬の研究会で発表した。 3、「論文」・・・ 今年度は、テキストの分析と、それらに基づく学会発表の方に力点を置いてきたため、論文として公刊したものは、11月下旬に発表したマルキオン関係の議論のみとなった。他方で、11月上旬に発表したカッパドキア教父関係のものは、年度末にかけて修正をおこない、既に投稿が完了している。9月に発表したクレメンスの議論については、年度内に修正は間に合わなかったが、こちらは研究計画に従えば、本来、来年度におこなう予定だったものであるので、時間をかけて完成させようと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度より、ストア主義における神と世界との関係性の分析から、二つのものをつなぐ媒介としての「夢」概念の分析をおこなっているが、ストア主義において現存するテキストが想像以上に少なく限定的であったため、次年度に実施予定の初期キリスト教におけるテキストの分析に既に入っている。他方で、初期キリスト教のテキスト分析の過程で、視像や幻像および魂に関するストア主義の議論を十分に汲み取れていなかった点も明らかになったため、全体の進捗に問題はないものの、次年度は今年度の議論を再考しつつ、考察を進めて行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、新しいテキストの分析を進めるとともに、前年度に論文化できなかったものを完成に向けて修正する作業を進めていきたい。具体的には、夏頃に一本の学会発表と、一本の論文投稿を目指し、年度末にかけて次年度の発表に向けた準備に取り掛かりたい。新しいテキストについては、研究計画の段階では2-3世紀のものが中心であったが、可能であれば4-5世紀のものも視野に入れて、思想史として扱う対象を拡げてみたいと考えている。また、「夢」概念については、古代の別分野の研究者たちと共同研究をおこなっているので、本研究課題と関連させつつ、この共同研究を共著として公刊する方向で作業を進めている。こちらについても、来年度の完成を目指している。
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