研究課題/領域番号 |
22K00117
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
林 尚之 立命館大学, 教養教育センター, 授業担当講師 (20733273)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 憲法思想 / 立憲主義 / 主権 / 人権 / 国体論 / 救貧思想 / 衛生思想 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代日本立憲主義の歴史を、主権・人権をめぐる思想の萌芽と展開を跡付けることによって描き出そうとする試みである。特に、本研究では改憲論議に着目する。戦後日本では常に改憲論議が存在し続けており、それらの論議からは立憲秩序の転換や危機の様相を見出すことが出来る。よって、近代日本立憲主義の特質と歴史的意味をより深く考察するためには、改憲論議を分析の俎上にあげることが欠かせない。
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研究実績の概要 |
本研究は、近代日本立憲主義の歴史を、主権・人権をめぐる思想の萌芽と展開を跡付けることによって描き出すことを目的としている。特に、戦前・戦中・戦後の連続性を重視しながら日本の改憲論を検討し、なぜ日本の改憲論が実態として「制憲」の思想に牽引され続けてきたのかを明らかにすることを試みている。 今年度は、主に、国体論と「制憲」思想との関りに着目して本研究課題における重要論点を掘り下げることに注視した。特に、田中智学・里見岸雄・石原莞爾の最終戦争論の根底にある賢王信仰=メシアニズムを検討・再評価する目的から、関連する先行研究および基礎的な史料を収集するため国会図書館等にて調査を行った。これらの調査を通じて、戦後の里見の憲法改正草案の根底にある、戦前・戦中・戦後と一貫しているメシアニズムについて、田中や石原の思想との関わりをふまえながら総合的に把握することが出来た。また、そのメシアニズムが「大東亜共栄圏論」として発展し、いかにして戦後の憲法改正草案に結実したのかを明らかにした。この成果を著書としてまとめて、刊行することで、研究成果を社会に広く発信した。 今後は、日本国憲法における「生存権」規定に対して、義務本位の権利概念を対置する改憲論がどのような思想にもとづいているのかを明らかにしたい。また、戦前戦後の福祉行政や衛生行政における「生存権」保障の実態を把握分析し、その特質を解明する。それらの作業を通じて、日本の「制憲」論の歴史的展開が立憲秩序にいかなる影響を及ぼしているかを掘り下げていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、国体論と「制憲」思想の関りについての研究を進め、その成果を論文としてまとめるとともに単著として公刊することが出来た。また、関連する研究会等への参加により「制憲」概念の理論的基礎づけも進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、計画に沿って国会図書館や関連する史料館等での調査を行い、戦前・戦中・戦後の連続性に着目しながら「制憲」思想と近代日本立憲主義の関わりを掘り下げていく。また、関連する学会・研究会等において社会福祉や公衆衛生を専門とする研究者らとの議論を行い、それらの議論を通じて得られた知見をふまえながら「制憲」概念の理論的基礎づけを進めていく。なお、今年度は「生存権」に着目し、それとの関りで改憲論を支える思想を解明する。研究の成果に関しては、論文だけでなく、研究期間内にはこの共著の公刊を通じて本研究の成果を公表する計画である。
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