研究課題/領域番号 |
22K00123
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
吉川 順子 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 准教授 (90732032)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | いけ花 / 伝書 / 遠州流 / いけばな / 生け花 / 華道 / ジャポニスム / 文化交流史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀後半から20世紀初頭に出版されたいけ花に関連する欧文文献のうち、いけ花の伝書及びその絵図が使用されたものを対象として、その典拠の特定及び選択傾向の分析を行い、各文献が掲げたいけ花受容の目的と伝書や絵図から抽出した美的効果の関連性、さらにその目的の変容が花形の選択に及ぼした影響を解明するものである。
|
研究実績の概要 |
主に江戸時代に編纂されたいけ花の伝書(『花道古書集成』『続花道古書集成』に収録されている約140編のほか、収録されていないものは国書データベースなどを参照)を可能な限り閲覧し、研究対象とする欧文文献で使用されたいけ花の作品図の約8割(約370図)の出典を特定した。加えて、それらの欧文文献が刊行された19世紀のヨーロッパに存在した伝書を(オランダとフランスを中心に)調査し、オランダ商館医フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが早くに持ち帰った伝書には立花様式と生花様式のものが混在していたのに対して、19世紀後半に収集された伝書(オランダの薬学者アントン・ヨハネス・ゲールツの収集品と推測されるものなど)は強調的な曲線に特徴がある遠州流の生花様式のものが多かったことを確認した。これは、イギリスの建築家ジョサイア・コンドルが1889年以降に発表したいけ花に関する一連の著作で遠州流を重視し、いけ花の線の美を見出した以前もしくは同時期に、ヨーロッパの人々の間で遠州流の花形への好みがあったことや、いけ花の実物に先立って流通した伝書および浮世絵師らによって描かれたその作品図がヨーロッパの人々のいけ花観の形成に影響を及ぼした可能性を示す重要な事実である。以上の成果(特定した作品図の出典については一部のみ)を雑誌論文「ヨーロッパにもたらされた花の伝書-オランダとフランスを中心に」(国際いけ花学会紀要『いけ花文化研究』)で公表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象とする欧文文献で使用されたいけ花の作品図の出典の特定がほぼ予定通り進んだため。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、研究対象とする欧文文献のうちジャポニスムの中心地であったフランスの文献で早くから使用されたいけ花の作品図の出典を明らかにし、その特徴を花材・花器・花形などの点から分析して、文献の内容との関連性を検討する。参照された遠州流を始めとする伝書の日本およびヨーロッパでの流通についてもさらに調査する。また、研究対象とするすべての欧文文献で使用されたいけ花の作品図のうち、まだ出典が判明していない約2割の調査も引き続き行う。
|