研究課題/領域番号 |
22K00130
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
土田 牧子 共立女子大学, 文芸学部, 准教授 (30466958)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 歌舞伎 / 小芝居 / 歌舞伎音楽 / 囃子方 / 近代東京 / 近代 / 東京 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近代の東京における小芝居において享受された劇音楽を対象として、近代日本文化の展開の一側面をどのように見出だそうとするものである。小芝居は、廉価な芝居を提供する大衆的な小劇場で、庶民の娯楽の基盤を支えていたと言えるが、その実態は詳らかに解明されているとは言えない。本研究では、音楽面に焦点を当て、番付や付帳といった上演資料を用いて小芝居における音楽の実態を明らかにするとともに、それを劇場別・地域別に俯瞰することで、近代東京における文化の多様性の実態を、歌舞伎音楽という側面から照射することを目的としている。
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研究実績の概要 |
本年度は主として、望月太意之助師所蔵の「宮戸座付帳」に収められた付帳群について、上演情報の特定を行った。初代望月太意之助師が筆写し、二代目太意之助師が所蔵するこの付帳コレクションは、「宮戸座付帳」と名付けられてはいるが、実際には宮戸座の付帳は一部であり、大正・昭和期の様々な小芝居の付帳が含まれている。そのため、付帳に記載された演目名や上演年月(必ずしも正確とは限らない)を頼りに、正しい上演情報を特定する必要がある。 すべての上演情報を特定するには至っていないが、171冊423演目の内、334演目について劇場と上演年月を明らかにすることができた。劇場としては、宮戸座のほか神田劇場・常盤座・観音劇場・公園劇場・吾妻座・大国座(山手劇場)・早稲田劇場・麻布末廣座・新橋演舞場の各座が含まれる(ほかに九州巡業・神戸巡業)。計画段階ですでに述べたことであるが、浅草地域のみならず東京の広い範囲の小芝居を含むところにこの資料の特徴がある。また年代としては、明らかになった範囲ではあるが、大正6年(1917)から昭和4年(1929)までの付帳が確認された。大正6年のものはやや例外的と思われ、主たる付帳は大正10年(1921)以降である。 特徴としては、四谷にあった大国座(のちに山手劇場)の付帳が群を抜いて数が多い点があげられるある。大国座の付帳は大正13年(1924)から昭和3年(1928)まで、また山手劇場と名前を変えてからの昭和4年の付帳も含まれる。出勤の俳優は年代により変化があるが、高麗之助・竹三郎・菊右衛門らを中心とし、昭和になると菊右衛門を中心として新之助・幹尾・竹若・歌扇らの名も見られるようになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来であれば、2022年度は国立劇場をはじめとする諸機関が所蔵する番付を用いて、小芝居で上演された演目や俳優に加え、演奏家(囃子方)や演奏ジャンルについてデータベースを構築する予定であった。しかし、新型コロナ感染症の影響により劇場の資料閲覧室や各図書館の利用制限が持続していたため、年度を変更して先に2023年度に予定していた「宮戸座付帳」の上演情報の特定を行った。作業順序を逆にしたため、「宮戸座付帳」に関しては、諸機関での調査を経て、今後さらに明らかになる事柄が増えると思われるが、進捗状況としてはおおむね順調と言えると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に関しては、2022年度に行う予定だった諸機関での調査とデータベース化を進める。その上で、再度「宮戸座付帳」の精査を行うことで、さらに多くのことが明らかになると考えている。その後は現段階では計画に変更はない予定である。
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