研究課題/領域番号 |
22K00131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
山本 成生 上智大学, 文学部, 准教授 (90588815)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | グレゴリオ聖歌 / アヴェ・マリア / マリア崇敬 / キリスト教 / 音楽史 / 典礼史 / 東方教会 / 典礼 / 音楽 / 西洋中世 |
研究開始時の研究の概要 |
グレゴリオ聖歌についてはすでに1世紀以上の研究史の積み重ねがあり、定説とも言い得る学説が形成されてきた。しかしながら、近年ではICT技術の進展にともない、グレゴリオ成果に関連する写本史料の多くがデジタル化・オンライン化されており、研究環境は大きく変貌した。また、西洋中世学研究においては「史料論」や「学際的アプローチ」に代表される新しい研究手法が提唱・活用されている。本研究はこれらを踏まえて、上記の課題に関してこれまでとは異なる解釈を提示しようというものである。そして、その成果は音楽史に限定されず、初期中世のヨーロッパ社会における文化的様相を闡明するためにも、少なからざる貢献をなし得ると思われる。
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研究実績の概要 |
本研究は、まとまったレポートリーをもち、「楽譜」による再現演奏が可能な西洋最古の音楽とされる「グレゴリオ聖歌」の成立状況を、現存する写本史料の詳細の分析と学際的なアプローチから解き明かそうとするものである。 昨年度より、グレゴリオ聖歌の一つである〈アヴェ・マリア〉Ave Maria という楽曲の調査・検討をおこなっている。本年度は、グレゴリオ聖歌の最初期の写本群におけるその扱いを考察し、その成果を論文1本と口頭報告1報として、それぞれ発表することができた(論文は『上智史學』68号、21-42頁。口頭報告は日本音楽学会第74回全国大会。2023年11月4日。於:聖徳大学。報告要旨は『音楽学』69巻2号、171頁に所収)。 また本研究課題に間接的に関わる成果としては、西洋中世音楽史における重要な研究動向の紹介(『西洋中世研究』15号、227-228頁)や、西洋中世の音楽文化の魅力を広く伝える書籍への寄稿(『古楽の事典[仮称]』朝倉書店、2025年出版予定)を行った。 ヨーロッパにおける史料調査については、2024年3月に約2週間の日程で実施した。フランスのリモージュ、ペリグー、ポワティエの県文書館を訪問し、おもに司教座聖堂参事会に関連する手稿史料を調査し、その一部をデジタルカメラに収めることができた。これらの資料は随時検討を行い、来年度以降、その成果を公表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までは新型コロナウイルス感染症の影響や、研究代表者の所属変更等により、充分な研究を行うことができなかった。今年度は授業や校務、学会運営等で忙殺を極めつつも、ある程度の研究遂行のための時間と余力を確保することができた。その結果、論文1本と全国学会での口頭報告1報(前記の論文とは別内容のもの)を残すことができたため、上記の区分として自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
グレゴリオ聖歌全体を検討することは、本研究の期間や規模を考慮すると到底不可能な課題である。よって、軌道に乗りつつある〈アヴェ・マリア〉の検討を優先的に進める予定である。ただし、〈グレゴリオ聖歌〉という名称の由来とされるローマ教皇グレゴリウス1世の関与――というよりも後代におけるその影響力の利用――に関しては、枢要なテーマであるため、できるだけ早い段階で何らかの成果を公表したいと考えている。
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