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能楽・地歌・河東節を摂取した長唄の旋律形成に関する発展的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K00134
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分01050:美学および芸術論関連
研究機関日本女子大学

研究代表者

配川 美加  日本女子大学, 文学部, 研究員 (10787344)

研究分担者 高桑 いづみ  日本女子大学, 文学部, 研究員 (60249919)
坂本 清恵  日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
星野 厚子  東京大学, 文書館, 学術専門職員 (90727182)
吉野 雪子  日本女子大学, 文学部, 研究員 (50990735)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード長唄 / 河東節 / 半太夫節 / 旋律 / アクセント / 囃子 / 能楽 / 地歌
研究開始時の研究の概要

近世に歌舞伎の音楽として成立し、主に江戸で発展した長唄は、他の種目の影響も受けて旋律などの音楽を形成してきた。中でも中世に始まった能楽の影響は著しい。ただし、能楽から直接影響を受けた曲もあるが、近世邦楽の他の種目を通して能楽から影響を受けた曲もある。そこで、本研究では近世邦楽のうち地歌と河東節を取り上げて、長唄が地歌や河東節を通して能楽から受けた音楽的影響を明らかにする。そのためには、地歌と河東節が能楽から受けた影響も調べる必要がある。また、詞章のアクセントや能楽の音声が長唄・地歌・河東節それぞれの旋律にどのように反映されているかについても明らかにする。

研究実績の概要

河東節は現在、約40曲が伝承されているが、伝承が失われた曲も約10曲が明治期に五線譜化されている。そのうち、河東節の源流である半太夫節として初演された《小袖模様》の五線譜は、『世界音楽全集』 第18巻(昭和6年1月発行)に所収されている。また、ほぼ同様の詞章を持つ《小袖模様》は長唄にも大薩摩物として伝承されている。そこで、当年度は《小袖模様》をテーマに取り上げ、研究成果を2024年3月16日、日本女子大学文学部・文学研究科学術交流企画シンポジウムで発表した。
半太夫節《小袖模様》については、五線譜に奏法の記号が記載されないなど、不十分な点も多々見られたため、河東節の演奏家でもある長唄三味線方の松永忠一郎氏に復曲を依頼。長唄《小袖模様》も伝承に違いが見られるため、長唄唄方の2世日吉小三八氏に監修をお願いした。
当日は、高桑による「開催の趣旨」の後、新しく研究分担者として加わった吉野が「半太夫節《小袖模様》の概要と音楽」について講演。次に坂本が「河東節《小袖模様》とアクセント」について講演。坂本は、半太夫節《小袖模様》とほぼ同じ詞章を持つ上方の古浄瑠璃の各種正本と、江戸の古浄瑠璃やその流れを引く半太夫、河東の正本、長唄の現行曲の詞章・文字譜・胡麻章などを比較し、歌詞やアクセントの違いなど分析を行った。その後、半太夫節《小袖模様》を松永忠一郎氏の浄瑠璃、萩岡松柯氏の三味線で演奏。
次に、配川が「長唄《小袖模様》の概要と音楽」について講演。ここでは、長唄《小袖模様》の成立や伝承についての考察や、長唄《小袖模様》と半太夫節《小袖模様》の関係について、詞章、音楽面を中心に比較・分析を行った。その後、長唄《小袖模様》を日吉小八郎氏の唄、日吉栄寿(星野厚子)氏・杵屋三澄那氏の三味線で演奏。
当年度はこのほか、長唄の囃子について、邦楽囃子方の田中佐幸氏に聴取を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当年度は、本研究のテーマである河東節と長唄を中心に、河東節の源流である半太夫節やさらに古浄瑠璃との関係を《小袖模様》というほぼ同じ詞章を持つ曲で比較分析し、正本や詞章本といった資料、また、復曲により音楽面での考察も行うことができた。1曲だけで結論を出すのは難しいが、長唄と古浄瑠璃の接点を窺い知る大きな成果になったと考える。

今後の研究の推進方策

次年度も河東節を取り上げ、河東節の源流となった半太夫節《信田妻》などの復曲を行い、正本や詞章集の文字譜や胡麻章と対応させ、伝承やアクセントについて考察したい。古浄瑠璃全般の《信田妻》の詞章や文字譜などとの比較研究も行う。
また、長唄の旋律をはじめ、アクセント研究にとって重要な資料となる小十郎譜は大正期に成立した初版本以来、特に唄の旋律に改訂が行われてきたことが、昨年度刊行した『長唄の伝承』で明らかとなった。しかし、初版本以降の各版を網羅的に取り上げて、その変遷を解明した研究はまだ見られない。そこで、小十郎譜について、初版本から調査して、改訂の過程を明らかにしたい。また、長唄の囃子については、当年度から始めた田中佐幸氏の聴取を次年度も引き続き行いたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 近衛流書体謡本の表記をめぐって―元和卯月本から明和改正謡本へ―2024

    • 著者名/発表者名
      坂本清恵
    • 雑誌名

      国文目白

      巻: 63号 ページ: 24-39

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 『古頭付』から読み解く江戸初期以前の一噌流アシライ2024

    • 著者名/発表者名
      高桑いづみ
    • 雑誌名

      能楽研究

      巻: 48 ページ: 19-61

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 謡と定家仮名遣い2023

    • 著者名/発表者名
      坂本清恵
    • 雑誌名

      国語と国文学

      巻: 100(3) ページ: 58-71

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 長唄における歌詞改訂ー3回の改訂を中心に2024

    • 著者名/発表者名
      配川美加
    • 学会等名
      楽劇学会 第116回例会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 陰囃子のいろいろー歌舞伎舞踊と日本舞踊から考える2023

    • 著者名/発表者名
      配川美加
    • 学会等名
      楽劇学会 第31回楽劇学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 長唄における歌詞改訂ー1875年(明治8)の『露の転文』を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      配川美加
    • 学会等名
      eajs
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] 長唄の伝承 旋律形成に関する学際的研究2023

    • 著者名/発表者名
      坂本清恵編 高桑いづみ・配川美加・星野厚子
    • 総ページ数
      435
    • 出版者
      檜書店
    • ISBN
      9784827911169
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 『丹州爺打栗』自立語索引2023

    • 著者名/発表者名
      上野左絵・坂本清恵
    • 総ページ数
      369
    • 出版者
      義太夫節正本刊行会言語研究班
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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