研究課題/領域番号 |
22K00140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
埋忠 美沙 お茶の水女子大学, コンピテンシー育成開発研究所, 准教授 (20468846)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 三代目沢村田之助 / 豊国漫画図絵 / 奴の小万 / 日本左衛門 / 歌舞伎 / 幕末 / 河竹黙阿弥 / 浮世絵 / 演出 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究「幕末江戸歌舞伎の演出分析――三代目沢村田之助と五代目尾上菊五郎の主演作を中心に」は、幕末江戸歌舞伎を研究対象として、芝居が立体化する経緯、すなわち「演出」を解明するものである。 興行の企画から千秋楽までの経緯を、役者と作者の関係性に注目しながら多様な一次資料を網羅的に読み解き解明する。本研究によって、歌舞伎史で空白となってきた幕末の上演の実態を詳らかにし、「歌舞伎の演出とは何か」という大きな問いの答えの一つを導き出す。
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研究実績の概要 |
初年度は三代目沢村田之助の研究をおこなった。具体的にはある時期から田之助のイメージによって浸透したキャラクター「奴の小万」について調査分析をおこない、その造形の変遷を辿ることで田之助の芸風を紐解いた。 「奴の小万」は江戸中期の大坂に実在した女侠で、生前から芝居や読本などに脚色された人物である。いつからか延享年間に実在した盗賊・日本左衛門の恋人として語られるようになった。小万および日本左衛門の実説と人形浄瑠璃・歌舞伎・実録・読本などにおける脚色の経緯を辿り、史実では接点を見出せない両者が脚色を重ねるなかで結びついてゆく過程を詳らかにした。そのうえで安政期に制作された浮世絵シリーズ「豊国漫画図絵」、なかでも「奴の小万」の図の分析をおこない、その似顔に田之助が描かれた理由を考察した。この研究成果として、藝能史研究會で例会で発表をおこなった他、論文の執筆を進めている。 三代目田之助は数々の天才的なエピソードと、脱疽によって四肢を切断した不幸な晩年から関心を集め、死後様々な創作活動の素材となってきた。一方でその知名度にひきかえて技芸についての実証的な研究はほとんどおこなわれていない状況にある。研究代表者もこれまで幕末歌舞伎の研究に取り組んできたものの、三代目田之助については研究対象としていなかった。幕末歌舞伎研究の推進には三代目田之助の技芸を詳らかにすることが不可欠であることから、重要な研究成果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「順調に進展している」とした理由は2点である。 第一が、本研究テーマで扱う2人の役者のうち、三代目沢村田之助の研究を推進できた点である。幕末歌舞伎を紐解くために不可欠な役者であるにもかかわらず十分に研究がなされてこなかった田之助の芸風の一端を紐解くことができたのは成果である。 第二が、「豊国漫画図絵」等の役者絵をはじめ、絵画資料を資料として用いた点である。本研究テーマにおける研究手法の独自性は、従来の歌舞伎研究で十分に用いられてこなかった絵画資料を活用する点にある。特に多数の役者絵が現存する幕末歌舞伎の研究においてはそれによって研究の進展が見込まれることから、絵画資料を活用したことは成果といえる。 一方で、口頭発表の内容を年度内に論文化できなかった点から、「計画以上」の進展ではなく「おおむね」にとどまるとした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2023年度は五代目菊五郎の研究を特に重点的におこなう。あわせて幕末における「役柄」の研究もおこないたい。 歌舞伎において「役柄」というのは役者の技芸を考えるうえで重要なテーマであるが、元禄歌舞伎を中心にした研究が中心で、幕末においては作品執筆や演技演出に「役柄」がどのように反映していたのか詳らかではない。 「幕末歌舞伎の演出研究」という本テーマにおいては、作品および役者の具体敵な分析とともに、それらを総括する概念ともいえる「役柄」を考察することが必要であると考えることから、「役柄」の研究をおこなう計画である。
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