研究課題/領域番号 |
22K00145
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
|
研究機関 | 青山学院大学 (2023) 静岡文化芸術大学 (2022) |
研究代表者 |
井上 由里子 青山学院大学, 文学部, 准教授 (70601037)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | 中嶋夏 / じゆう劇場 / 中島諒 / アトリエ・カタリーズ / 傷つきやすさ / 俳優術 / 暗黒舞踏 / コミュニティ・ダンス / 21世紀演劇 / 20世紀演劇 / 障害 / ケア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、障害者演劇と20世紀前衛演劇の交叉について理論と実践を往還しながら考察し、「傷つきやすさ(vulnerability)」の創造性を解明することである。 具体的には、障害者演劇の「傷つきやすさ」がどのように芸術創造と関わるかを文献調査、現地調査、作品分析をもとに検討する。そして、20世紀前衛演劇の「傷つきやすさ」との比較を通して、両者の交叉のあり方と「傷つきやすさ」の創造性を理論的に考察する。 ケアの倫理の基盤にある「傷つきやすさ」を演劇研究に導入することにより、障害へのまなざしに変化をもたらすと同時に、20世紀西洋演劇史を再考することをめざす。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、障害者演劇と20世紀前衛演劇の交叉について理論と実践を往還しながら考察し、「傷つきやすさ(vulnerability)」の創造性を明らかにすることである。本年度は、現地調査と翻訳を中心に進めた。 (1)本研究課題の主要な研究対象である以下の3つの実践について現地調査を行った。 ①コミュニティ・ダンス〈心と身体の学級〉(1993年創設、中嶋夏主宰) ②鳥の劇場〈じゆう劇場〉の演劇祭(2013年創設、中島諒演出) ③フランスの国立適合創造センター〈アトリエ・カタリーズ〉(1984年創設、マドレーヌ・ルアーン演出) それぞれの作品鑑賞、ワークショップ参加、主宰者へのインタビューなどを行い、各実践の特徴を掴むことができた。現在、論文や報告記事等を準備中である。 (2)翻訳については、まず、フランスの演劇人ヴァレール・ノヴァリナ(1942年-)の理論書『ことばの演劇』の翻訳の手直しを終えた。ノヴァリナの演劇は本研究の主な対象に含まれないが、アール・ブリュットを受容したノヴァリナの理論書は、20世紀前衛演劇と障害者演劇の交叉を考察する上で、重要な概念や視点を提示してくれる。次に、20世紀前衛演劇の俳優の演技方法については、フランス国立高等師範学校マリオン=シェヌティエ・アレフ教授による論文「記憶する手 俳優によるテクストの記憶」(『フランス国立図書館誌』)の翻訳を進め、出版許可を得ることもできた。いずれも2024年度に刊行予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究成果の発表を行わなかったが、調査は順調に進んでおり、次年度にまとめて研究成果を発表する予定であるため、研究全体の進捗に支障はないと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
・本課題の研究対象について現地調査(稽古の見学やインタビュー等)を継続する。2024年度は〈心と身体の学級〉との比較対象となる暗黒舞踏のワークショップに参加するほか、〈アトリエ・カタリーズ〉と〈じゆう劇場〉の調査を中心に行う。いずれも調査先が遠方にあるが、長期休暇を利用する予定である。ゆるされる限り多くの時間をかけ、言語化されにくい部分をとらえたい。 ・文献調査については、「傷つきやすさ」「ケア」「コレクティフ」について概念整理を行い、現地調査の成果を考察する理論的基盤を整える。また、イタリアのピッポ・デルボーノの著作の仏語訳の読解を進める。 ・本研究課題の3年目となる2024年度には、学会発表、翻訳出版、調査報告のかたちで研究成果を発表する予定である。
|