研究課題/領域番号 |
22K00146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
平間 充子 (平間充子) 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 客員研究員 (90600495)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 日本音楽史 / 日本古代史 / 儀礼 / 雅楽寮 / 近衛府 / 節会 / 饗宴儀礼 / 雅楽 |
研究開始時の研究の概要 |
古代日本の音楽と芸能について、記録類や楽書などの文字資料の分析からその実態を明らかにする。さらにその芸能を必要とし、継承を可能にした当時の社会構造や政治的背景について、日中比較と歴史学の視点から再考する。 ①儀礼音楽に関する日中比較。共通する例として正月元旦の国家儀礼を、差異が際立つ例として女性演奏家および彼女たちが属する奏楽機関の活動を分析し、日中の異同を明らかにしつつ、両国の政治的・社会的状況と結び付けて考察する。 ②私的な側面の強い儀礼の音楽・芸能の検証。例として、朝勤行幸と算賀の宴での芸能について、その実態を明らかにしつつ天皇の家族的な秩序が反映されている可能性を考察する。
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研究実績の概要 |
資料上の制約からその実態の把握が困難な11世紀以前の音楽・芸能について、社会的な脈絡からその意義について検証すべく、表現手段や鑑賞の対象としての音楽・芸能の分析ではなく、「なぜ」「その時」「そこで」「その人々が」行ったのかに着目して検証を行った。演奏だけではなく、その演奏を可能にした社会構造、更にはその演奏を視聴すること・させることがもたらす社会的な効果をも含めた、人間の営みとしての音楽・芸能の考察、という点が特徴的である。 具体的には、雅楽寮、近衛府、内教坊という3つの古代日本の朝廷における奏楽機関に着目し、それぞれの設立事情、公的機関としての性格、および儀礼における奏楽の実態について分析を行った。更に、それぞれが奏楽を担当した儀礼の成立・展開を政治的背景と関連させて検証した結果、3つの奏楽機関はそれぞれの儀礼で確認される君臣関係を表象し、儀礼の意義を強調する役割を担っていたこと、つまり音楽・芸能の奏上は朝廷内の秩序を体現する、といった政治的・社会的に重要な意義を持っていたことを指摘した。中国の儀礼における奏楽とは全く様相が異なるものの、支配者層の秩序を維持する、という目的では共通していたことが窺われ、更に中国側の儀礼との比較を進めて両国の社会状況、とりわけ政治的背景や支配原理の差異が反映されている可能性を探る予定である。 なお、当該年度は研究成果公開促進費(学術図書)の助成を受け、本研究課題の前提となる一連の研究成果を書籍化した。校正などで予想以上に時間をとられてしまったが、他の研究者からの批判や助言を受けてより本研究課題を充実させたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の流行が収束せず、社会的に行動制限がなされる中在住する地方都市から都心部の図書館などへの資料調査が思うように進まなかったため。加えて、当該年度は研究成果公開促進費(学術図書)の助成を受け、本研究課題の前提となる一連の研究成果の書籍化作業に予想以上に時間をとられたため。
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今後の研究の推進方策 |
日中の宮廷・支配者層における音楽と芸能の比較研究を行う。とりわけ、中国に倣い設立された女性のみの奏楽機関である日本の内教坊について、白馬節会での活動とレパートリーを中心に考察する。その中の舞楽《玉樹後庭花》が中国では房中楽とされ、また西域起源の曲調を取り入れていた可能性から、平安初期における内教坊が中国のそれに近い性格を持ち、天皇の私的な側面を強調する機能があったことを指摘する。一方、中国では日本と違い家臣の身分・皇帝との関係性によって女性演奏家が下賜されたことを榎本淳一が指摘しており、日中のジェンダーや芸能観の差異を反映している可能性について指摘する。 更に、貴族社会で展開されていたいわゆる御遊に着目し、そこに朝廷の秩序がどのように反映されているのかについても考察する。 Annual JSA Conference(ホノルル)、東アジア比較文化国際会議韓国大会(ソウル)、欧州日本学協会世界大会(ゲント、ベルギー)などで随時研究成果を発表予定。
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