研究課題/領域番号 |
22K00161
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
岡松 恵 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80573021)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 夜着 / 服飾 / 寝具 / 就寝文化 |
研究開始時の研究の概要 |
現在ではすっかり忘れ去られてしまったが、「夜着(よぎ)」は小袖(着物)の形をした掛布団で、江戸時代を中心に380年以上も日本人に愛用されていた寝具である。無地や縞などの簡素なものもあるが、大模様を背面に配した大胆奇抜なものもあり、当時の人々の関心を惹きつけていたと思われる。夜着はなぜ人々にもてはやされ、そしてすたれてしまったのだろうか。本研究では夜着の模様や形を調査することで、かつて日本人が夜着に求めた美意識や機能を明らかにしようと試みる。そして夜着の豊かさや愉しみを再評価することで、日本の就寝文化に対する理解を深めることを目的とする。
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研究実績の概要 |
「夜着(よぎ)」は、江戸時代を中心に昭和前期頃まで使われた着物型の掛布団である。その意匠は、無地や縞などの他、背面に大きく模様を配した大胆奇抜なものがみられる。現在では、夜着は、すっかり忘れ去られてしまっているが、四角い掛布団や着物(小袖)と比較することで、夜着の持つユニークな「形」や「模様」の意味を明らかにしたい。 夜着の「形」についての研究では、夜着の形状と製作法を明らかにすることを研究の第一段階とし、2022年度は①裁縫書の調査、②実物遺品の調査、を予定した。①については、大学図書館を通じて、裁縫書や裁縫教育に関する先行研究を収集し、内容を整理するとともに、夜着の情報が掲載されていると思われる裁縫書を選定し、所蔵先の調査を行った。またデジタルアーカイブ公開システムによって、web上に裁縫書の各ページが図像として公開されているものについては、そのまま資料として扱い、製作法の調査を行った。②については、近代に製作されたと思われる綿入りの夜着遺品を入手し、形状の調査を開始した。 夜着の「模様」についての研究では、2022年度に①雛形本の調査、②実物遺品の調査、の実施を予定していた。①については、申請者のこれまでの夜着研究で江戸前期についての調査を終えていたため、江戸後期以降について調査することとした。2022年度は裁縫書の調査と同様の手法で、先行研究や図録の調査を行った。その結果、新たに1点の夜着雛形の存在を確認することができた(訪問調査は未実施である)。②に関しては、申請者の地元である山梨県では、かつて掛布団の布地が生産されており、昭和前期の布地見本帳が山梨県産業センターに保管されていることが判明したため、訪問調査を実施した。見本帳1冊について、写真撮影を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
申請時の段階で、2022年度の新型コロナウィルスの感染状況を予想することは難しかったが、資料収集の重要性から、県外での数日間の宿泊を伴う訪問調査を5か所と、東京都の公共機関への日帰り調査を複数回、予定に組み込んた。行動指針の変化を注視しつつ訪問のタイミングを計ったが、県外への移動制限や訪問先の受け入れ不可のため、結果的には、当初予定していた所蔵先への訪問調査は叶わなかった。そのためWeb調査や図書館を通した資料の取り寄せなど、学内で実施できる調査を進めた。また夜着の寄贈を受けたことから、形状調査を行った。さらに移動制限の影響の少ない県内所蔵の夜着関連資料を聞き取り調査し、昭和前期の掛布団の模様調査に繋げることができた。かろうじて研究を進めることができたが、主たる資料の収集ができておらず、研究が遅れていることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
2023年に新型コロナウィルスの感染対策が緩和された際には、2022年度には行えなかった県外での資料収集調査を実施する。 夜着の「形」に関する研究は、第二段階として、夜着と掛布団の遺品の復元を行う。夜着や掛布団の遺品は、表地のみが流通している場合が多いため、それらを復元の材料とする。2023年度は夜着と掛布団の遺品を入手し、洗濯を行う。復元は2024年度に行い、裏をつけ、中綿を入れて完成させる。復元過程は適宜撮影しておき、2025年度に製作動画として整理する。また第三段階の「形」に関する研究として、復元した夜着と掛布団の使用体験比較を行う。 夜着の「模様」に関する研究では、①雛形本の調査、②実物遺品の調査を行う。資料取集に時間のかかる事が予想されるため、当初の予定どおり、4年間をかけて実施する予定である。
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