研究課題/領域番号 |
22K00168
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
|
研究機関 | 東海学園大学 |
研究代表者 |
高橋 佳代 (小野佳代) 東海学園大学, 人文学部, 教授 (60386563)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 尾張地方 / 仏像調査 / 仏像 / 院派 / 愛知県 / 東海地方 / 仏師 |
研究開始時の研究の概要 |
愛知県は近畿と関東を結ぶ交通の要衝に位置しており、東西の文化が交錯する地にあり、文化の交流の視点から愛知県の仏像を捉えると誠に興味深い。しかしながら愛知県内の仏像調査は十分に行われているとは言い難く、なお研究の余地を残している。そこで本研究では、愛知県(とその近隣地域)の未調査の仏像を対象に調査し、美術史研究に資するような基礎資料を作成していくとともに、調査した仏像を、技術の伝播や人の移動といった観点から考察することによって、愛知県の仏像の特徴、ひいては中央や東国とも異なる“東海の仏像の特色”というものを解明したい。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、愛知県の未調査の仏像を対象に、像の法量や形式、構造などの特徴を調査し、美術史研究に資する基礎資料を積み上げていくとともに、調査時に銘文や納入品等を発見した際には記録に残し、関連文献の検討をとおして造立事情を明らかにすることである。特殊な様式をもつ仏像であった場合には、製作地、地域性、仏師、移動といった点からも考察を加えていく。 令和4(2022)年度は、愛知県の寺院を中心とし、さらに岐阜県の寺院も含め、延べ39カ寺を訪問し、73体の仏像を視察・調査した。調査したのは、平安時代初期から江戸時代前期頃までの仏像であった。現在、順次調査報告書をまとめている最中である。文化財指定にふさわしい像は、寺院の意向もふまえつつ、各自治体に指定とするよう働きかけていく(調査から1年で早くも市指定になった像もある)。また、調査した仏像の中には、像の製作年代は古いものの、後補材が多く保存状態が悪かったり、彩色がすべて昭和以降の鮮やかな色になってしまった像など、様々な理由で市指定に至らない像も見受けられた。とはいえ、こうした像も保存して後世に伝えていくべきであろう。愛知県では2022年4月から文化財登録制度がスタートする。今後この制度を活用し、上記のような像を県登録にしていきたい。現在3件の仏像を県登録に推薦したところである。 調査した仏像は多くが近世の縁起すら残っていない。しかし伝来は不明であっても、像が中世以前に遡る場合には、法量や構造等の基礎資料を公開していくことには意味があろう。今後、文化財指定や県登録になった像については、関連雑誌等で情報を公開していきたい(すでに大学の紀要には調査の一部を公開している)。ある程度、仏像調査が進行したところで、仏師や地域性等の問題も検討していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4(2022)年度は、尾張地方(名古屋市とその近郊)の寺院調査が多く、その他では三河と岐阜の一部でも調査を実施した。計73体の仏像を視察・調査したが、そのうち8件14体の仏像については調査報告書を作成し、各自治体の指定文化財にしていく予定である。調査報告書の作成はまだ現在進行形である。 調査のペースとしてはおおむね予定どおりであり、尾張地方の仏像の特徴について理解できつつある。調査した仏像のいくつかは、大学の紀要などに調査報告を掲載することができた。これまでの調査で、南北朝から室町時代の院派の仏像に触れる機会が多かった。今後はある程度、時代やテーマをしぼって調査していくことも必要となろう。
|
今後の研究の推進方策 |
令和5(2023)年度も名古屋市周辺を調査対象としながらも、必ずしも限定されることなく、尾張地域の文化・歴史と関連する三河・岐阜エリアまで調査対象としていきたい。具体的な調査方法としては、まず県史や市町村史の調査から漏れた寺院を対象にアンケート調査を実施したい。調査では、像の法量測定、形式、品質構造、保存状況等を観察して報告書にまとめるが、もし銘文や納入品が見つかった場合には、人名や地名等の情報を手がかりに、像の造立事情や背景を考察していく。 これまでの調査で、南北朝・室町時代の院派仏師に特徴的な「像心束」の構造をもつ仏像が尾張と三河地方から複数見つかっている。院派系統の仏師の作例の東海地方における分布や、活動範囲なども今後の検討課題である。
|