研究課題/領域番号 |
22K00177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
野田 由美意 北見工業大学, 工学部, 教授 (00537079)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 若きラインラント / ナチス時代からその直後 / 美術館コレクション / 画廊の売買 / デュッセルドルフ文化 / 美術館・画廊の歴史 |
研究開始時の研究の概要 |
デュッセルドルフの前衛芸術家グループ「若きラインラント」は、ナチスにより解体された。私はこれまで、個々のメンバーが当該時代にいかなる選択を取り芸術活動を行ったのかを追究し、主として制作者側に焦点をあててきた。それを踏まえ本研究ではナチス時代およびその直後の時代のデュッセルドルフにおける、美術館、画廊、個人コレクターの「若きラインラント」作品売買と展覧会の変遷をたどる。これにより、各時代の芸術政策への美術館等の反応を明らかにし、彼らの作品がナチス時代とその直後でいかに扱われたのかを詳らかにすることが可能となる。
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研究実績の概要 |
ナチス時代およびその直後の時代のデュッセルドルフにおける、美術館、画廊、個人コレクターの「若きラインラント」作品売買と展覧会の変遷をたどる。これにより、各時代の芸術政策への美術館等の反応を明らかにし、彼らの作品がナチス時代とその直後でいかに扱われたのかを詳らかにすることが可能となる。 令和4年度の研究(令和5年度まで継続):「ナチス時代デュッセルドルフの美術館「若きラインラント」作品売買と展覧会」。本研究では、すでに入手している市立美術館(現デュッセルドルフ宮殿美術館)と市立博物館の作品売買リストや展覧会カタログ等の資料を精査し、「若きラインラント」の作品売買と展示の変遷をたどる。1. 美術館が購入した作品の特徴と、押収された作品・美術館が手放した作品の特徴を比較し、2. 各展覧会で展示された作品の特徴の変遷を分析し、美術館がナチスにいかに順応するに至ったか、一方でそれぞれの考えの違いを明らかにする。 令和4年度には、市立美術館の当時の膨大な手書きの売買記録から、「若きラインラント」メンバーの売買記録を抜き出し、Exelに書き起こして整理する作業を行った。またデュッセルドルフ市立資料館に保管されている、ナチス時代に市立美術館館長を務めた、ハンス・ヴィルヘルム・フップに関する、同メンバーの作品売買についての書簡の調査を行った。これらの作業は令和5年度も継続中である。これらの調査から「若きラインラント」は前衛美術のグループとしてナチスに解体され、特に1937年には押収の対象となる作品が多かったとはいえ、全体としては市立美術館で329品もの作品が購入されていることが明らかとなった。その研究途中の報告として、令和4年12月に北海道ドイツ文学会で口頭発表「ナチス時代、デュッセルドルフ市立美術館の「若きラインラント」コレクションについて」を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度には、市立美術館の当時の膨大な手書きの売買記録から、「若きラインラント」メンバーの売買記録を抜き出し、Exelに書き起こして整理する作業を行った。この作業に想定していた以上の労力と時間がかかった。市立博物館の作品売買記録についてはすでに調査済みである。またデュッセルドルフ市立資料館に保管されている、ナチス時代に市立美術館館長を務めた、ハンス・ヴィルヘルム・フップに関する、同メンバーの作品売買についての書簡の調査を行った。これも想定した以上に膨大な量で未整理の資料のため、これらの作業は令和5年度も継続中である。ただし、作業は順調に進んでいるため、これらのデータ作成作業から、美術館の作品売買の事実:メンバーの誰のどのような作品が売買され、またそれにどのような画廊等がかかわったのかが明らかになる。さらに、当時の展覧会カタログのデータ整理と上記の資料の比較を行うことが今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
1.令和4年度から継続中の、ハンス・ヴィルヘルム・フップに関する、「若きラインラント」メンバーの作品売買についての書簡の調査を行う。 2.ナチス時代デュッセルドルフの展覧会カタログから、メンバーの作品についてデータ整理を行う。 3.市立美術館の作品売買記録、およびフップの書簡、展覧会カタログ、それぞれの調査結果を照らし合わせ、美術館がナチスにいかに順応するに至ったか、一方でそれぞれの考えの違いを明らかにする。この調査結果を学会誌に発表する。
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