研究課題/領域番号 |
22K00180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
一宮 八重 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 助手 (40832613)
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研究分担者 |
日比谷 孟俊 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (60347276)
大和 あすか 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 研究員 (30823752)
三井田 盛一郎 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (20305519)
塚田 全彦 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60265204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ちりめん絵 / 悉皆調査 / 年代別資料数 / ちりめん加工 / 輸出用ちりめん絵 / 皴加工 / 技法材料 / 皴の形状解析 / 美術史 |
研究開始時の研究の概要 |
木版画を縮緬布のように皴加工した「ちりめん版画」作品群は、秘伝とされたその加工法や制作背景、及び地域は未解明である。本研究は個人所蔵の約600点の資料を調査対象とし、特に使用された色材及び皴の形状に着目し、科学的手法により分析する。擬革紙など現存する紙加工技術との共通性を整理し、皴加工が表現法の一つとして木版画に応用された背景を把握する。特に文久から明治初年の約10年間に制作されたと考えられる工芸品としてのちりめん絵は、制作法の復元を通じてその精緻な皴加工技術を解明する。一方で、元絵の板行年を基準として論じられていたちりめん絵の制作年代について、皴形状の分類と定量化に基づいて考察し特定する。
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研究実績の概要 |
ちりめん絵資料は個人所蔵されているケースが多いことから、殆ど分析調査が進んでおらず、全容が把握されていなかった。現存する資料数や内容などをまとめた調査報告例はない。精緻な縮緬加工を施したちりめん絵は、明治期の輸出工芸品であったにもかかわらず、その独特な加工技術に関する記述が残存していない等、基本的な知見が乏しい。本研究では、色材の科学分析と皴の形状およびそれら変遷を科学的に検討することにより、ちりめん絵の制作年代を始めとした実態及びその多様性を解明することを目的とする。擬革紙など現存する紙加工技術との共通性を整理し、皴加工が表現法の一つとして木版画に応用された背景を把握することを目指している。 本年度はまず既存資料の整理を目指し、個人コレクター所蔵資料の悉皆調査を開始した。研究開始前は600点ほどの資料数との認識であったが、実際の悉皆調査により現在までに1000点以上の調査を行った。調査結果をもとに資料一覧表の作成を開始した。 今年度の調査項目としては、資料の摺られた年代、版元、彫師など資料から読解できる文字情報をまとめた。また、スキャナーで資料の表と裏を読み取る作業により、資料状態の記録を進めた。一方、ちりめん加工技術の把握のためには縮小率の計算を行う必要がある。サイズ測定のため方眼スケール入りにてスキャンも行い、画像から資料サイズを計測した。 ちりめん絵制作の背景を調査するため、年代別の資料数の把握も行った。これらの情報を記載した一覧表の作成に着手し、現在までにこれらの悉皆調査は大幅に進み、ちりめん加工前の大判資料も含め1300点あまりの資料情報をまとめている。来年度の学会発表および研究会開催に向けた準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はまずちりめん加工された資料の全体像を把握するため、個人コレクター所蔵資料の悉皆調査を行った。研究開始前は600点ほどの資料数とのことであったが、実際の悉皆調査では1000点以上の資料を確認し、一覧表の作成に至った。 今年度の調査項目としては、資料の摺られた年代、版元、彫師など資料から読解できる文字情報をまとめた。また、ちりめん加工技術の把握のため、縮小率の計測および資料状態の記録のため、スキャナーによる資料の記録作業を終えた。また、ちりめん絵制作の背景を調査するため、年代別の資料数の把握を行った。これらの情報を記載した一覧表の作成に着手できたことにより、資料状態、文字情報、縮小率などの物理的情報をまとめ上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現存する資料数や文字情報をまとめた一覧表の完成を目指す。資料一覧表の調査項目として、紙支持体の観察、紙厚測定、裏打ちの有無等を加えることで、国内に現存するちりめん絵資料情報をより充実させる予定である。これら測定データの蓄積によりちりめん加工に特徴的な材料使用の有無や傾向を検証する。 皴形状の調査においては資料数を増やし、形状の特徴を整理することにより制作グループや年代の推定が可能か検証する。ちりめん絵の仕立てにおいては、「ちりめん加工を目的として摺られた版画」または「市場に余った版画を再利用」によりちりめん絵を制作するとの2系統存在すると想定される。使用された色材の分析に着手し、ちりめん未加工作品(元絵)と比較することによりこの想定の検証も行う予定である。
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