研究課題/領域番号 |
22K00188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
仲町 啓子 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (80141125)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 宗達 / 金銀泥絵 / 法橋 / 絵師の存在形態 / 俵屋 / 絵屋 |
研究開始時の研究の概要 |
前半生の宗達の活動は俵屋工房の中に埋没しがちで、作家個人としての輪郭がつかみにくいのに対して、後半生の宗達はひとりの作家としての活動が増え、絵師としての存在形態を大きく変えていった。その飛躍的変貌の機縁と、独創的と評される後半生の造形が生み出される要因を、前半生の工房活動の造形的・社会的に解析と、社会の変動が絵師の在り方そのものにも深く関わっているという問題意識から、社会的な存在として絵師を捉え直すことによって考察する。
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研究実績の概要 |
これまでの宗達研究の主流は、一連の宗達様式を示す作品群の中から宗達直筆の作品を抽出した上で、宗達画の特質を考察することに集中してきた。それによって個人作家としての宗達画の輪郭がかなり明確になってきたことは、近代美術史の大きな成果であったと言えよう。本研究はそれらの研究成果を踏まえ、宗達と宗達工房で生み出された作品の総体を改めて問い直し、その活動の歴史的な特質を考察しようとするものである。2022年度は、金銀泥絵と《源氏物語図屏風》(東京・静嘉堂文庫美術館蔵)を中心に分析した。 宗達及び宗達工房の絵師が、料紙装飾としての金銀泥絵(色紙・巻子・冊子)、金銀泥摺(巻子)、雲母摺(色紙・巻子・冊子)に携わったのは、主として慶長年間(1596-1615)から元和年間(1615-24)であった。同時代の料紙装飾との造形的な違いについてはこれまでも指摘されてきたが、本研究ではその違いが生み出された要因を単に「独創的」や「創造的」とするのではなく、同時代における料紙装飾制作の実態を分析し、宗達工房の場合との共通性と違いをきめ細かに解析することに努めた。ただ同時代資料はかなりの量があり、結論を得るためには引き続き資料収集を行ってゆく必要がある。 源氏物語図は日本の物語図の中でも特に多くの作例を残している。『源氏物語』が一種の文化的権威として機能してきたことが、その要因のひとつとして考えられる。そうした性格は源氏物語図の制作にも影を落とし、一定の規矩を守り、品格を保った源氏物語図の制作が求められた。宗達画の場合も大きくそれを逸脱するものではなかったが、今回の検証によって、白描小絵巻の《源氏物語図絵巻》を主として図柄の典拠として用いていたことが明らかとなった。公家女性が描いたという伝承ももつその絵巻を使用したのは宗達工房だけであり、その意味については他の屏風絵の分析も踏まえ、さらに考察する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍にあって海外調査は困難であったが、国内調査とこれまでに蓄積してきた資料によって、かなり考察を深かめることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究を発展させるとともに、扇面画や他の屏風絵の解析も進めてゆく。
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