研究課題/領域番号 |
22K00194
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
|
研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
宮崎 衣澄 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (70369966)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
|
キーワード | イコン / 多色石版画 / 明治期 / ロシア・イコン / クロモリトグラフィー / 日本ハリストス正教会 / ロシア正教会 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治期ロシアから伝来した日本正教教会堂のイコンを抽出し、それらをイコノスタシスと合わせて包括的に調査・研究することにより、①19-20世紀初頭ロシア・イコンの日本への伝播と、②世界の正教伝道における日本正教会の位置を総合的に研究するものである。 それにより、19世紀末ロシア帝国が主導した国外の正教徒庇護、正教伝道活動の中で、日本伝道活動を相対的に把握する。
|
研究実績の概要 |
日本正教会の未研究のロシア・イコンを調査し、明治期日本に伝来したイコンを総合的に分析することにより、現存数が少ない近代ロシア・イコンに未発見の資料を提示し、日本伝来イコンの特徴を明確化する、という目的達成に向けて、本年は二つの課題に取り組んだ。 一つ目は、昨年度取り組んだ京都正教会のイコノスタシス研究の成果を論文としてまとめて、学会誌に投稿した。 二つ目は、日本正教会が所蔵する印刷イコンの調査と分析である。日本正教会には、ロシアから伝来したクロモリトグラフ・イコンと、明治期に日本で制作された石版画イコンが現存している。今年度は主に、日本で制作された石版画イコンの調査・研究を行った。日本の石版画イコンは釧路正教会、旧手賀教会等ではイコノスタシスの王門に使用されている例もあるが、これに着目した研究は未だ行われていいない。そのため、各地の正教会を訪問し、現存する日本正教会所蔵の石版画イコンの資料収集を行った。以下研究の概要を述べる。 石版画イコンが日本正教会で制作されたのは1880年代初頭で、正教会伝道初期のテンペラ画のイコンを補う目的であった。1882年1月16(28)日の亜使徒ニコライの日記には、次のような記載がある。「伊豆からいろいろな聖人のイコンを送ってくれと言われている。・・・(中略)きょうはここで聖人たちのイコンの石版刷りを作ることにする。」 調査の結果、現存している日本製の石版画イコンは同じ主題で共通する図像のものが各地の正教会に現存しており、特に四福音書記者の石版画イコンは、現在も王門に使用されている(釧路・高崎・白河・旧手賀教会ほか)。今後はさらに多くの石版画イコンを調査し、それらを比較分析することによって、明治期の正教会石版画イコンの実態を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ロシアのウクライナ侵攻による影響により、ロシアでの現地調査が難しい状況が続いている。そのため、ロシアの各美術館や教会のイコン調査、文献資料収集が予定通り実施できていない。 今後の状況を見て、可能であればロシアで現地調査を行い、困難な場合はこれまで構築した研究協力者の体制を利用し、資料収集の協力や助言をいただく。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き明治期日本正教会の石版画イコンに焦点をあてて、研究を行う。次のような手順で研究を進める。 1)日本正教会が所蔵する石版画イコンの調査と分析。これまで調査したイコンに加えて、釧路、高崎など各地の正教会に点在するイコンを調査し、図像を分析する。さらに、日本正教会の石版画イコンは、ロシア・イコンから原画をとる場合が多いため、日本正教会に現存するロシア・イコンから原画の推定を行う。 2)明治期日本における印刷技術と正教会の印刷イコン制作。現存する石版画イコンは多色で質が高いため、専門の印刷所で制作されたと考えられる。当時の印刷技術、印刷所を調査し、日本正教会の印刷イコン制作に携わった人物の推定を行う。 3)上記の研究をまとめ、学会発表と学会誌への投稿を行う。
|