研究課題/領域番号 |
22K00196
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01060:美術史関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館 |
研究代表者 |
山川 曉 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部工芸室, 室長 (70250016)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 袈裟 / 伝法衣 / 頂相 / 禅宗 / 相伝 / 夢窓疎石 / 織物 / 染織史 / 禅宗史 / 心性史 / 威信財 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、仏教の出家者すなわち僧侶が着用する袈裟のうち、師資相承を象徴し「伝法衣」と呼ばれてきた一群の染織品を対象とする。袈裟を相伝の証とする概念はインドに起こり東アジアへと伝播したが、現存する伝法衣はほぼすべて日本に伝来する。本研究では、その数量および所在地を可能な限り把握して作品調査を実施し、伝法衣の製作地および製作年代について染織史的な位置づけを試みる。さらに、その相伝過程を箱書や寺院文書などから捉え、当時の社会の中で人々がどのように伝法衣を受け止めてきたのか、心性史の観点から把握することを試み、なぜかくも数多く日本人が伝法衣を持ち伝えてきたのかを考察する。
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研究実績の概要 |
本年度は、保存状態が思わしくなく、開披できなかった伝法衣二領について、染織品修理技術者の手をかりて広げ、作品調査および高精細画像の撮影を行った。本袈裟は、2009年に天龍寺の文書調査にあたって再発見された五領のうちの二領で、残る三領についてはすでに撮影が終了していたものである。このたび開披して撮影した伝法衣は、ひとつは無学祖元(1226~86)からの相伝衣と伝えられたきたものである。黄色の田相に茶色の行の組み合わせは、夢窓自身記述する無学祖元から相伝した品に一致しており、生地の顕文紗の構造は、南宋墓から数多く出土する顕文紗Aに等しい。これらのことから、伝承は極めて蓋然性の高いものと判断した。いまひとつは夢窓疎石(1275~1351)が天龍寺を開いたときに、光厳院から拝領したと伝えられる袈裟で、天龍寺の伝法衣と考えられる品である。この伝法衣については、すでに展覧会図録『高僧と袈裟』で示した通り、夢窓やその法嗣である春屋妙葩の頂相に描かれており、夢窓からの相伝品として差支えないものである。田壮の紫の顕文紗の構造は、現在のところ日本でしか見られない顕文紗Bであり、田相については日本製の蓋然性が高い。これらの作品は幅3.5メートルにもおよび、状態が悪く平たくしか設置できないため、撮影にあたっては写真技師が天井にのぼって撮影した。今後の研究において活用が期待される。 あわせて、本科研に重なる内容の特別展覧会「東福寺」を急遽担当することになったため、展覧会に向けての作品調査および、図録での伝法衣の作品解説執筆、特別講演会「東福寺と伝法衣 袈裟をめぐる物語」(11月25日 京都国立博物館講堂)を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は新型コロナウイルスによる行動制限も解除され、ようやく作品調査が実施できる環境が整った年ではあったのだが、勤務する博物館において担当する展覧会が続き、本研究に充てる時間を捻出することができなかった。これは前任者の急な退職を受けてのことであり、予期できないことであった。そのため、研究計画には予定よりも大幅な遅延が生じた。 ただし、担当を引き継いだ特別展覧会「東福寺」は、南宋時代に遡る伝法衣を展示するなど、本研究と極めて近接した内容であり、展覧会の調査を通じて本研究への示唆を得ることができた。また、かねてより課題であった状態が極めて悪く開披することが難しい天龍寺の伝法衣二領について、染織修理技術者の力を借りて今後の研究に利用できる高解像度の画像を撮影できたことは重要な成果である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度であり、ほとんど実施できていなかった遠方の伝法衣の調査を着実に実施する。具体的には、九州地方の曹洞宗の伝法衣の調査を進める。あわせて、これまで詳細には論じられていないこれらの伝法衣について、研究ノートのような内容でも構わないので、広く学界で情報が共有できるような形にしていきたい。
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