研究課題/領域番号 |
22K00198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
上浦 佑太 筑波大学, 芸術系, 助教 (50633187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 数理的 / 構造 / 配置 / 数理性 / 形 / 体系 |
研究開始時の研究の概要 |
数理的構造は構図に整然性や安定感を与えるだけでなく、構造と配置の関係について観察を促したり、錯視やゆらぎを生じさせたり、自然と人為の対比を強調するなど活用の幅が広い。数理的構造の新たな活用方法や既存作品の構図分析は先行研究に例があるが、多様な表現効果を生み出す共通基盤として数理的構造を捉える視点に基づく研究はまだない。本研究では数理的構造を活用した表現のプロセスを一般化し、各段階における作り手の判断が最終的な表現効果にどう結びつくのか体系化する。数理的構造に焦点を当てることで異なる表現効果による展開を有機的に結びつけ、学びの効率化と新たな表現の追求に資することをねらう。
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研究実績の概要 |
数理的構造に基づく構成の体系化にあたり、当初は構成のプロセスを「①構造の設定」「②配置の目安とする要素の選択(点・線・面のいずれか)」「③形の分布の決定」「④配置の実行」の4段階に分けて捉えていた。しかし、今年度新たに収集した資料をもとに改めて表現効果との関連を考察した結果、「③形の分布の決定」は「ラベリング(操作対象の決定)」と「操作内容の設定」に区分して捉えた方が多様なアプローチを体系的に整理しやすいことが分かった。つまり、②までのプロセスでは構造の点・線・面のどの要素に注目するのか決定し、「③ラベリング」ではその要素に沿って特定の範囲を指示するラベルを貼り付け、「④操作内容の設定」ではそのラベルの範囲に形を定着させるための具体的な操作内容を規定する、という流れである。この改変に連動して、続く⑤は「⑤操作の実行」と表記を変更することにした。 さらに、上記の構成の基本的プロセス①から⑤に加えて、「構造の変形」「プロセスの循環的適用」の2種類を追加することにした。構造の変形とは、当初①で設定した構造を歪めたりずらしたりして変形する表現であり、これに該当する事例も多数ある。「プロセスの循環的適用」は基本プロセスの①から⑤を完了したのちに改めて①から④のいずれかのプロセスに戻ってさらに要素を追加したり削除したりするタイプのアプローチである。フラクタルなどの再帰的な構成が代表的だがそうでないものも見られ、区分の精査が必要である。この2種類の処理は数理的構造に基づく構成に必須のプロセスではないが、全ての表現事例をチャートの形式に当てはめて一般化するためには必須のオプションである。 以上のように、本年度の調査および考察によって数理的構造に基づく構成のプロセスを体系化するための枠組みがより明確になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初今年度の目標として計画していたのは、数理的構造に基づく構成のプロセスの1段階目である「①構造の設定」に特に関連する表現事例の収集と分析であったが、資料収集を進める過程で構成のプロセスに関する枠組みそのものを見直す必要性に気づき、今年度はその精査に時間を割いた。今後本研究課題を進める上で避けて通れない基本的な事項の整理であったため、当初計画した内容ではないものの順調な進展と捉えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要欄に示した通り、数理的構造に基づく構成の基本プロセスを一部修正したため、当初とは異なる計画に変更する。来年度はまず、数理的構造に基づく構成の基本プロセスを一般化して捉えるための枠組みとして一部再編した「③ラベリング」「④操作内容の設定」と、新たに追加された2種類の処理(構造の変形、プロセスの循環的適用)に該当する表現事例の収集をする。さらに、それぞれのステップにおける代表的なアプローチの選択肢を分析し、構造の数理性が効果の発現や増幅に重要な役割を果たしていると考えられる表現効果について整理する。これらをふまえて、改めて数理的構造に基づく構成のアプローチを俯瞰的に把握することで、本年に再編した枠組みの汎用性を検証し、必要に応じて修正を加える。枠組みに矛盾がないことが確認されれば、当初の研究計画に則って残りの各基本プロセスにおける表現事例を収集し、表現効果との関連について分析を進める。
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