研究課題/領域番号 |
22K00201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
山村 浩二 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (30516828)
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研究分担者 |
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アニメーション / ピンスクリーン / アレクサンドル・アレクセイエフ / 映画史 / 装置論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、世界でフランスとカナダのみに存在する1930年代に発明された描画装置であるピンスクリーンの実機による国内初のアニメーション制作の実践を通じて、その今日的な意味を再検討することである。 本研究はピンスクリーンを用いてきた作家達のテキストやインタビュー調査を行うとともに、ピンスクリーンの実機を用いた作品制作やワークショップ実践を行い、アニメーション創作過程における表現と道具の相互作用について考察し、デジタル時代のアニメーション実践にも資する理論の形成を目指す。
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研究実績の概要 |
ピンスクリーンによるアニメーション制作:1930年代にアレクサンドル・アレクセイエフとクレア・パーカーによって発明されたアニメーション描画装置ピンスクリーンによるアニメーション制作を、前年度に引き続き行った。研究の促進のため、学内に2台目のピンスクリーンを導入し、操作方法や、制作環境の構築について実践的知見を得た。 ピンスクリーンの運用:ピンスクリーンは1台あたり数万から数十万本の針を使うため、乾燥した気候の欧米でも針の防錆は課題であった。日本の高温多湿な気候における防錆についての知見を得る必要がある。しかし既に導入したピンスクリーン2台は到着時に針部分が組付け済みであり、フランスでの製造時に錆が発生したのか、日本到着後か不明であった。研究協力者(宮嶋龍太郎)は針が組付けられていない未完成品のピンスクリーンを入手し、防錆油に包まれた状態の針を国内で組み付け、錆の発生過程や部品の劣化などについて観察・記録を行った。 ピンスクリーンの開発:アレクセイエフとパーカーによって開発された100万本の針による高精細なピンスクリーンは既に描画装置としては稼働しておらず、現在現役で稼働している中で最も高精細なものでも24万本程度である。そのため、フランスの製造工房と広島市の針製造会社の協力を得て、より高精細な次世代ピンスクリーン開発を行った。開発したピンスクリーンは30万本の針を使用し、現在稼働するピンスクリーンでは最も高精細であり、針の密度は歴史上最も高密度である。当該次世代ピンスクリーンは、フランス国立フィルムセンターの関連プロジェクトに貸し出され、運用予定である。高密度ピンスクリーンの開発成果は、ポーランドの美術館においても展示、およびワークショップを行った。当該ワークショップではピンスクリーン装置の理解増進のため、新たに小型のピンスクリーンを3Dプリンターで製造した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ピンスクリーンによる知見・映画史的な研究は予定通り順調に進み、ピンスクリーンを運用したアニメーション制作も予定通りほぼ完了しているが、制作に関してはもう少し実験を続ける予定である。残す研究、ピンスクリーンによるワークショップの実践に関しては、1度開催し、今度もう少し実践の予定があるのと、当初予定していなかった、新しいピンスクリーンの開発に関しては、想定以上に実践・研究が進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
ピンスクリーンによるワークショップの更なる実践、ピンスクリーンを運用したアニメーション制作の更なる制作と実験を行う。
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