研究課題/領域番号 |
22K00202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
吉田 果歩 東京藝術大学, 美術学部, 研究員 (60882529)
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研究分担者 |
瀧澤 花織 東京藝術大学, 美術学部, 助手 (00932584)
相原 健作 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 専門研究員 (50376894)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 金属工芸 / 工芸 / 飛鳥 / 透彫 |
研究開始時の研究の概要 |
「透彫」は金属工芸の加飾技法の一種であり、その歴史は古く、古墳時代の刀剣の鐔や装身具、奈良時代の法隆寺、正倉院の仏具加飾など、卓越した金属工芸作品は多岐に渡る。本研究では飛鳥期の完好な状態で受け継がれてきた伝世品に焦点を当て、透彫技術の非破壊的分析調査、工具再現制作等、多面的視点からの調査を行い飛鳥期に用いられていた技法解明に挑む。透彫加工の痕跡が残る加工断面を、工学顕微鏡やSEM観察による科学分析を用いて本研究の立証を進め、科学原理に基づく「透彫」の技法キャラクタリゼーションの学術的立証により、我が国の誇る工芸技法の歴史的価値の再発見と、昨今の工芸技法の指導原理の獲得を目的としていく。
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研究実績の概要 |
本研究では飛鳥期の完好な状態で受け継がれてきた伝世品に焦点を当て、透彫技術の非破壊的分析調査、工具再現制作等、多面的視点からの調査を行い技法の解明に挑む。 現存する銘品から、特に、「透彫加工の痕跡が顕著に現れる加工断面」を工学顕微鏡やSEM観察による科学分析を用いて本研究の技法復元立証を行う。 透彫は金工の加飾技法の一種であり、その歴史は古く、古墳時代の刀剣の鐔や装身具、奈良時代の法隆寺、正倉院の仏具加飾など、卓越した金属工芸作品は多岐に渡る。当時の透彫技法は鏨で透かした後に切断面に鑢をかけて仕上げたものと考えられ、現在使用されている糸鋸を用いた切削とは異なるものとされてきた。しかし、先行研究として透彫技法解明に向けた文献調査、実見調査を進めたところ、建築史、文化史から古墳期に出土した副葬品の中に古墳出土鋸が発掘されていたことがわかった。昨年は実際に実見調査、聞き取り調査を行い、工具作成に着手し始めた。本年は昨年同様に工具の制作を継続すると共に、同時期に制作された作品の復元制作に取り掛かる。制作資料の分析を行い飛鳥期透彫の技法調査を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
飛鳥期灌頂幡の実見調査を行う為、現在は二手法による工具の作成に着手している。想定よりも少し遅れているが、本年は同時期に制作されていた作品の復元試料の制作に取り組む。工具、復元試料の作成を続け、刃断面の分析結果を集計するとともに、黄銅灌頂幡の調査を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は工具試料の作成を続け、復元制作の技法研究を進めていく。これまで透彫技法は鏨で透かした後に切断面に鑢をかけて仕上げたものと考えられ、現在使用されている糸鋸を用いた切削とは異なるものとされてきた。 最古の鋸は17世紀に出土されており、糸鋸による可能性を感じ、二種類の技法を基軸として調査を進めた。飛鳥期以前の日本で出土鋸は見つかっていないが、鋸工具が建築史、生活史による調査から飛鳥期以前に東南アジアで出土されていたことがわかった。本年は透彫の復元作品試料、工具試料の制作から明確な試料作成を行い、飛鳥期透彫原品の調査を目指す。
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