研究課題/領域番号 |
22K00237
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
池田 京子 椙山女学園大学, 教育学部, 特命教授 (60283222)
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研究分担者 |
香山 瑞恵 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (70233989)
山下 泰樹 長野県工科短期大学校, 情報エレクトロニクス学科, 教授 (60777316)
永井 孝 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (90835175)
召田 優子 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (20757893)
原 道子 (山口道子) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (70781938)
田邊 朱実 (小畑朱実) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (90781948)
谷 友博 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 准教授 (00786981)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 音楽 / 声楽教育 / 歌唱指導 / 声の見える化 / 指導語 / 歌声の印象評価語 / 声楽 / 発声法 / 指導法 / 身体知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は初学者の歌声を「声楽」という水準にまで引き上げるための指導方法および指導語の認識と見解を具体化し、発声学や音楽教育、そして身体知研究や教育工学の観点から「共通認識」を得た上で、声楽・発声指導法を客観的に具体化する試みである。 また、蓄積してきた歌声データをデータベース化し、特定歌唱者のデータや特定音高を含むデータを検索することができるようにする。検索された結果を用いて、学習者に歌声の変化を具体的に示すことができ、修正すべき箇所や歌い方を維持すべき箇所が具体的にわかるようになるシステムを構築することで、声楽や発声指導法を具体化するものである。
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研究実績の概要 |
通常、声楽教育における指導方法や歌唱の評価方法は、指導者によって様々である。指導者により発声法や呼吸法に対する評価・指導は、流儀や流派があるかの如く異なっている。一方で初学者もまたそれぞれ違った声・骨格を持っている。本研究はこの複雑な機能を「声楽」という水準にまで引き上げるための指導方法および指導語の認識と見解を具体化し、声楽の指導法・学習法を一般化、具体化しようとする試みであり、発声学や音楽教育、そして身体知研究や教育工学の観点からも極めて意義深いと考える。 これらのことを実現するためにはまず、歌唱時の筋電位と呼吸計測を測定し、測定結果と測定時の歌声の音響特徴量との関連を整理する必要がある。初年度に当たる2022年度は、生体センサーを用いて男声プロ歌手の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行った。さらに、歌声および歌声の変化を定量的に示す音響特徴量を精査すると共に、歌声を特徴付けるパラメータとの対応を検証しつつ、声を出すときに無理な力が入っていないか、息を深く吸えているか、息を吐き切れているか、これらを繰り返し維持できているかなどの生体情報を収集した。 一方で、これまでに収集してきた初学者の歌声データをデータベース化するべく、当該年度ではデータベースのプロトコルを作成した。音楽大学の声楽専攻学生、および教員養成大学の音楽コース声楽専攻学生の歌声データを、入学当初から卒業まで定期的に収集してきたデータ数は1500を超える。これらを打ち込む作業は、現段階ではかなりの手間を要するため、今後は一度データを入力すれば、同一歌唱者の情報を毎回新規に入力することなく歌声データが順次更新されていく等、入力時の利便性を図っていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた通り、ウエアラブル生体センサーを用いて、男声プロ歌手の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行った。声を出すときに無理な力が入っていないか、息を深く吸えているか、息を吐き切れているか、これらを繰り返し維持できているかなどの生体情報を収集した。また、これらのデータと歌声および歌声の変化を定量的に示す音響特徴量との関係を精査し、歌声を特徴付けるパラメータとの対応を検証した。さらに、これらの検証により得られた結果を学会で発表した。 過去に収集してきた初学者の歌声データをデータベース化するべく、当該年度ではデータベースのプロトコルを作成した。音楽大学の声楽専攻学生、および教員養成大学の音楽コース声楽専攻学生の歌声データを、入学当初から卒業まで定期的に収集してきたデータ数は1500を超えるが、当該年度からもこの先4年間の継続的な歌声の新規取得を始めた。 一方で、歌声の響きに関連する周波数特性の強度や割合の定量化を検討し、歌声評価指標の構築を試みた。これまでに心理的印象に影響を与える音響特徴量を具体化し、声楽の学習者における音響特徴量の習熟度による変化の差を検証してきたが、加えてプロ歌手・音大生それぞれの特徴を整理した。その上で、歌声評価指標の時系列変化から歌詞や習熟度との関係について考察し、学会発表を行った。 以上のことから、研究はおおむね予定通り進展させることができていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では、ウエアラブル生体センサーを用いて「男声プロ歌手」の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行ったが、今後は「女声プロ歌手」の歌唱時についても、同様の計測を行う予定である。これらの情報とこれまでに開発したリアルタイムのモニタリングツールを用いて解析した結果とを関連づけることで、客観的な身体知獲得メソッドに基づいた声楽・発声指導法の具体化を目指していく。 また、歌声評価実験で収録されたままになっている膨大な歌声データのデータベース化を引き続き進めていく。歌声のデータベースを構築する際には、個々の歌声データに、歌唱者や歌唱対象曲等のメタデータを付与することとなる。メタデータを付与して歌声データを蓄積することで、特定歌唱者のデータや特定音高を含むデータを検索することができるようになる。検索された結果を用いて、学習者に歌声の変化を具体的に示すことができたり、理想とする歌手の歌声と自身の歌声を比較したりすることができ、修正すべき箇所や歌い方を維持すべき箇所が具体的にわかるようになる。 さらに、歌声を評価する「評価語」の意味・意図の精査を進め、指導法の具体化、一般化に向けて、プロの声楽指導者への歌声評価実験の実施を進めていく予定である。
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