研究課題/領域番号 |
22K00242
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 四国大学短期大学部 |
研究代表者 |
川内 由子 四国大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20224727)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 阿波踊り / 徳島市阿波おどり / 三味線の奏法 / 民俗芸能 / 東京高円寺阿波おどり |
研究開始時の研究の概要 |
徳島阿波踊り「ぞめき囃子」の三味線の基本は,口唱歌で「シャンリシャンリレ」である。一方,近年では「シャンリシャンリ」と演奏されることが多い。本研究は,徳島阿波踊りと東京高円寺阿波おどりを取り上げ,徳島阿波踊り「ぞめき囃子」の三味線の伝統的で特徴的な奏法「リレ」の有無を中心に阿波踊りの伝承を解析する。民俗芸能の伝承は,歴史的,地理的,人的,社会的等何らかの必然的要因のもとに行われるのが通例であるが,このような必然的要因を伝承の動機としない創造的伝承が存在することが窺われた。「リレ」の有無を用いた伝承の調査研究により創造的伝承の存在を明らかにし,今後の民俗芸能の伝承の可能性と阿波踊りの本質を探る。
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研究実績の概要 |
民俗芸能の伝承は一般的に社会的、地理的あるいは歴史的な必然性が伴うが、阿波踊りの伝承に関しては、これら従来型の伝承によらない新たな伝承形態である「創造的伝承」が存在すると考えられた。本研究では、徳島阿波踊り「ぞめき囃子」の伝統的な三味線奏法における「リレ」の伝承の有無を基準に、阿波踊りの伝承における従来の伝承形態と異なる「創造的伝承」の存材を明らかにすることを目的に研究を行っている。 昨年度は徳島県にある大学の、「阿波踊り学生連」を中心に調査研究を行い、阿波踊り連の誕生形態から、社会的あるいは歴史的に従来の阿波踊り連とは関係性の低い連の存在とその連における「リレ」の非認知が明らかになった。このことから、阿波踊り伝承の新たな伝承「創造的伝承」の存在が窺われた。本年度、この調査結果を日本民俗音楽学会の民俗音楽研究に公表した。 本年度の調査では、徳島市の阿波おどり連と東京高円寺阿波おどり連に着目して、主に、東京高円寺阿波おどり連の連員に対する対面調査およびアンケート用紙を配布して三味線奏法「リレ」の認知を調べた。この結果、東京高円寺阿波おどり連の多くは、徳島市の阿波おどり連との密接な関係があり、調査したほとんどすべての連で三味線奏法「リレ」が認知されていた。このことから、東京高円寺阿波おどり連における阿波踊りの伝承は、地域的に拡大した伝承であるものの、徳島阿波踊りを反映した、従来のタイプの伝承であると考えられた。一方、予備的に行った東京高円寺阿波おどりから派生あるいは影響を受けて始まった阿波踊り連の調査では、「リレ」の非認知の連の存在が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は東京高円寺阿波おどり連の調査と徳島市の阿波おどり連の調査を予定していた。東京高円寺阿波おどりに関しては、対面あるいはリモートで個別に連長から聞き取り調査を行うとともに、連員に対するアンケート調査を実施した。現在、徳島市の阿波おどり連の調査を進めている。 一方、昨年度の調査結果を日本民俗音楽学会『民俗音楽研究』に公表している。 以上のことから、現在までの進捗状況をおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
東京高円寺阿波おどり連と徳島市の阿波おどり連は、姉妹連の関係に代表されるように比較的高密度な関係性にある。調査の結果、姉妹連ではないものの、多くの連が互いに交流を持っていることが明らかとなった。 2024年度は、東京高円寺阿波おどり連、徳島市阿波おどり連の追加調査、東京高円寺阿波おどりから派生した連への調査を行う。実地調査後は、データの分析を中心に研究を進め、学会発表、機関誌への執筆を予定している。
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