研究課題/領域番号 |
22K00244
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
三宮 千佳 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (10454125)
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研究分担者 |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 客員教授 (20181969)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 3Dポリゴンデータ / 金銅仏 / 鋳造技法 / 造形表現 / 3Dポリゴンデータ分析 / 石仏 / 金銅仏と石仏 |
研究開始時の研究の概要 |
仏像造形の研究は、写真や肉眼観察による古い様式論の編年法に長くとどまる。科学的・客観的に立体比率を数値化・図化した検証に至らず、今も論点が曖昧だ。多くの金銅仏は軟らかいロウ(蝋)で原型を造り青銅で鋳造し、石仏は硬い石を彫る。仏像の「素材・技法と造形の相関研究」は未だ前例が無い。立体造形研究は3Dポリゴンデータの時代に移り、3D計測技術は飛躍し、複雑な凹凸を短時間で正確に超微細にデジタル化できる。中国の仏像で重要な4~6世紀の金銅仏・石仏について、ポリゴンデータの断面図から解析する「プロポーション・面角度・曲率」を新資料として、素材が異なる同時代の金銅仏と石仏の造形の同異を解明する。
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研究実績の概要 |
昨年度も、研究計画どおり、1件の3D撮影、分析研究、1件の学会発表、2件の論文執筆を行った。 3D撮影は、京都・泉屋博古館で、金銅如来立像 盛唐・天宝3年(744)銘(彝228)、金銅菩薩立像 盛唐 (彝220)を撮影した。 また1件の学会発表では、2022年度に3D撮影をした出光美術館所蔵金銅如来五尊像のポリゴンデータをもとに、その造形表現の特色と鋳造技法を明らかにした。また他の作例のポリゴンデータとの比較も行った。その結果を記すと、同作品のポリゴンデータによる分析から、体躯のプロポーションは、実際の人体の頭身ではなく、3等分あるいは4等分をもとに、各部のバランスをとっていること、また、各像の大きさは主尊の総高をもとに決め、配置を整えていることがわかった。また頭部の毛筋の凹凸上や体躯両側面に范線がみられないことから、ロウ型鋳造の可能性があることを述べた。特に主尊の下の四脚座は主尊と一鋳であると考えている。両脇侍菩薩と光背上段の7体の禅定坐仏は、原型が同型であることを指摘し、分割鋳造とした。本像は現状では全部で25パーツで構成しており、各パーツは鋲留めされている。このように多数のパーツを多様な技法を駆使して丁寧につくっていることは、現存する他の古式金銅仏と比べても特色ある方法であると考えられる。これらは、3Dポリゴンデータの分析を行ったからこそ判明したことである。美術作品における3Dポリゴンデータ分析研究の有用性を公表することができた。 このように当初の計画通り順調に研究を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3D撮影、分析研究、学会での発表、論文執筆が順調に進んでいるため。研究分担者やその他の協力者とも研究協力もできているため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、石仏の3D撮影を行い、いよいよ金銅仏の3Dポリゴンデータとの比較検討を行っていきたい。それにより、同時代で素材の異なる仏像における造形表現・技法面での共通点・相違点が明らかになり、当初の研究目標を達成することができる。
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