研究課題/領域番号 |
22K00246
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
武末 裕子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10636145)
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研究分担者 |
古屋 祥子 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (50557824)
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
大内 進 星美学園短期大学, 日伊総合研究所, 客員研究員 (40321591)
芝田 典子 山梨大学, 教育学部, 協力研究員 (30969431)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 地域連携 / 彫刻 / 触覚による美術鑑賞 / 国際共同研究 / インクルーシブ教育 / 感染症対策 / 視覚障害 / 教材開発 / 触覚 / 盲学校 / 美術鑑賞 |
研究開始時の研究の概要 |
研究課題 A(調査・分析)の後に研究課題 B(実践)、検証 C(検証・普及)を順次行う。 研究課題 A(全員担当)の試作段階では研究課題 B(主に武末・古屋担当)と相互に反映させていく。 その際に感染症対策事例収集(主に平尾担当)も調査し、初年度の研究課題 B で作成した教材を実際に視覚に障がいのある様々な症状(先天性・中途失明・全盲・弱視他(主に大内担当))のアドバイザーに実際に触れてもらい、検証 Cで意見集約して反映協力体制を強化し、次年度の研究課題 A に反映させて次年度研究課題 B にツールの更なる修正を作成して提示し、改良を重ねて研究をおこなっていく。
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研究実績の概要 |
本研究は理論と実践の相互から、感染症に留意した触覚美術鑑賞法の新たな可能性を明らかにすることを目的とし、具体的には感染症に対応した国内外における触覚による美術鑑賞事例状況を調査、国内外の大学間・美術館と連携をはかりながら、新たな題材・教材を創造するものである。初年度の本年はイタリアと台湾の連携基盤作りを中心に、美術鑑賞教材開発(主に絵本と立体作品)と感染症に留意した安全な美術鑑賞法の提案を行った。
1. 国内外事例調査・分析 触覚による美術鑑賞ツール調査(1)イタリアの事例調査(Federazione Nazionale delle Istituzioni pro Ciechi(イタリア盲人支援施設連盟(ローマ))の触覚鑑賞絵本、ドゥォーモ美術館の情報収集(2)台湾の事例調査(国立台湾芸術大学・大葉大学・中興大学・台中美術館・故宮博物院・台北市国立図書館啓明分館)の調査と大学共同研究(3)日本の事例調査 兵庫県立美術館・国立民族学博物館・京都国立美術館他(国内の触覚教育に関連する研究会等) 調査により、日本国内での取り組みから参考となる資料を収集。 2.国内外事例を実践につなぐため、県内盲学校や国内外の彫刻家・研究者、学生の協力で、山梨県立図書館(2022年10月21日(金)-10月23日(日)の3日間、山梨県立図書館、759名来場参加)と国立台湾芸術大学(2022年11月2日(水)-11月13日(日)の12日間、台湾国立台湾藝術大学教研大樓国際展覧廊、632名来場参加)で展覧会を開催した。 3.美術鑑賞ツールの開発実践(1)美術鑑賞題材の開発について、2の実践を通して、視覚障害者団体の助言を得ながら報告書で発表をした。(2)研究代表者と分担者それぞれに、感染症対策を踏まえた触れる鑑賞法実践について振り返り、論文等で研究発表を継続した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
順調に進展している理由は協力体制にある。 イタリアと台湾の提案もあり、イタリアのFederazione Nazionale delle Istituzioni pro Ciechi(イタリア盲人支援施設連盟(ローマ)と台湾3大学や公立美術館・博物館の情報収集(国立台湾芸術大学・大葉大学・中興大学・台中美術館・故宮博物院・台北市国立図書館啓明分館)も可能になった。新型コロナ感染症対策を行いながら、日伊台の共同研究が順調に進み、収集した情報を参考に実践することが可能となった。発表会や講演会、ワークショップや定例会はzoomと対面の2タイプで同時開催した。 また、イタリアの触る絵本の映像資料を元にその内容や活用法について考えを深めることができた。そして、台湾でのQRコードを活用した鑑賞法の検討、視覚障害者福祉施設の協力体制により、助言協力を得ながら検証を進めることができた。 また、日伊だけで進めてきた調査研究に台湾の専門家が協力者として加わってきたことで、ヨーロッパ圏だけではなくアジア圏の触察による美術鑑賞の取り組み状況がわかってきた。 これらの調査は当初新型コロナ感染症のため、渡航が難しいことが懸念され、現地研究分担者協力が不可欠として分担者の追加を行なったが、分担者が地元の研究者へ協力者として働きかけを強化したため、より充実した調査・研究内容となった。 また、教材進捗を紹介する展覧会等では、感染看護学専門の研究者が分担者として、流行している型に応じた消毒方法や換気の基準を十分に協議した後に、開催することができた。現在も新型コロナ感染症の流行は継続しているため、今後も慎重に協議を重ねながら研究を深めていく事とする。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の令和4年度は当初から台湾での調査と実践を予定していた。現地協力者の尽力と新型コロナ感染症の流行の落ち着きにより順調な研究状況で事例調査・分析、実践の反映が可能となった。 2年目の令和5年度前半には、新型コロナ感染症の流行型に応じた感染対策と鑑賞法の考案がより具体的に求められていることを踏まえ、先に述べたように、専門家の助言を仰ぎながら、世界的な対策方法を調査し準備を進める必要がある。令和5年度後半は感染状況を鑑みながらの実際に公共施設内での研究公開と研修会開催、報告書の作成により普及に努める。 並行して、日伊台の美術館調査、実見・実態調査を継続していく。分担者が中心となって考案した調査案を実行に移し、分担者は日本・台湾の美術館調査を中心に継続予定である。 また、代表者はイタリアと台湾での調査をオンラインと対面で継続する。協力関係にある美術館や公共施設、福祉機関では鑑賞実践活用を目指して、人材育成の機会を新型コロナ感染症対策時の鑑賞対応と並行して進め、進捗は相互に定例会等で確認し合い、科研終了後の教材活用普及に向け進めていく予定である。
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