研究課題/領域番号 |
22K00258
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 東京藝術大学 (2023) 桐朋学園大学 (2022) |
研究代表者 |
金子 仁美 東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (00408949)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 20世紀後半 / フランス / 音楽 / 作曲 / 音響 / 芸術音楽 / 創作 |
研究開始時の研究の概要 |
音楽の創作は、様々な面で情報処理技術の影響を受け、紙に記譜をする従来の創作とは異なる表現モデルが台頭している。本研究は、基盤研究C「21世紀情報処理技術による音楽の表現拡張モデルと創作環境との相互関係の研究」(H29-R2)を土台とし、(a)歴史的文脈の再考、(b)情報処理技術に基づく作曲技法の解析、(c)情報処理技術を用いた作曲技法の実践、(d)教育への応用、という4つの観点に分け、相互に関連づけて研究を進める。この分野で数々の実績を持つフランスの研究・教育機関の協力を得る。新しい展開(d)では、芸術表現モデルの開拓が情報処理技術による学習法に繋がる可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
研究2年目は体調不良から研究を十分に進められなかった。しかし、前年に進めていた研究の成果をいくつか発表することができた。研究計画に据えた4つのカテゴリーそれぞれについて以下に報告する。 (a)歴史的文脈の再考について、「1970年代フランスにおける新しい作曲の姿勢 : ジェラール・グリゼイの拍とリズムについての考察」「ジェラール・グリゼイ『機械仕掛けの時間』をめぐって - 楽曲分析による音楽の新たな時間概念の考察 - 」という2本の論文を発表した。科学技術を駆使したコンピュータによる現在の音楽制作では、西洋の伝統的は音楽概念の枠には収まりきらない時間構造、音色構造がある。芸術表現の立場から伝統からの新たな展開を実践したフランスの作曲家ジェラール・グリゼイの作曲法を、本人の言説を通して研究した。海外出張による調査研究も重要な資料となった。これらの研究から、今世紀に繋がる新しい発想による音楽概念がグリゼイの考え方に散りばめられており、いかにその発想が芽生えたかを歴史的文脈から考察し、論文として発表することができた。 (b)情報処理技術に基づく作曲技法の解析については、海外出張で、パリ国立高等音楽院で指導するフローラン・オリヴィエ氏と前年度に準備した音源を素材とした実験と編集を実施した。 (c)情報処理技術を用いた作曲技法の実践については、bの解析から得た方法論を、ヴァイオリンとチェロのそれぞれの独奏曲という形で発表した。また以前の研究成果をまとめる形で、CDを制作した。 (d)教育への応用については、情報処理技術を用いた創作をテーマにする博士課程学生の作品制作の方法の可能性をこれまでの研究成果を通して指導することが出来たが、より具体的な展開が必要と考え、次年度の課題とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況がやや遅れている理由として、体調不良が続いたことがあげられる。特に情報処理技術に基づく作曲技法の解析の領域では実験を伴うため、研究協力を必要としていたが、事前準備から依頼、実験、解析までのプロセスを実施することが出来なかった。具体的には、専門家の協力を得ながらヒトの聴覚と意識に関する実験素材を情報処理技術に基づいて作成し知覚実験を行う、そのデータを解析することで作曲技法の検証や今後の可能性を探ることに繋げる計画を持っていた。 他方、前年度から推し進めていた研究について、論文2本、作品2作の発表、そして前基盤Cから継続していた研究をCDとして形にすることが出来た。 次年度に繋げる研究の進捗状況が芳しくなく、それが今後の課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
まずは体調の回復に努める。その間も、できる研究を進めたい。国内での資料調査とそれを論文にすることを継続しつつ、研究終了にむけて海外の協力者とも連携を取り、準備を進める。体調によっては、研究期間を延長し、予定した研究を実施し、成果発表をするまで遂行したい。
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