研究課題/領域番号 |
22K00264
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01070:芸術実践論関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
梅山 いつき 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (50505401)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 現代演劇 / 劇場文化 / アーカイブ / 文化政策 / 小劇場演劇 / 地域振興 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は新型コロナウィルス感染症拡大によって、全国の小劇場がどのような活動変容を遂げ、業界内、および地域、そして観客との間にどういった新たな「つながり」を形成しようとしているのかを調査研究するものである。調査を通して、日本社会において劇場がどのような社会的役割を期待されているのかを問い、今日に至るまでの劇場文化の足跡を振り返ることで、劇場は市民とどのようなつながりを築いてきたのかについて考察したい。
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研究実績の概要 |
本研究は新型コロナウィルス感染症拡大によって、全国の小劇場がどのような活動変容を遂げ、業界内、および地域、そして観客との間にどういった新たな「つながり」を形成しようとしているのかを調査研究するものである。 2023年度はいくつかの小劇場や、国際フェスティバルの視察、舞台映像の利活用をめぐる二つのプロジェクトに参加した。昨年度より継続している、社団法人全国小劇場ネットワークと参加劇場の活動の調査として出雲市で上演された、佐藤信演出作品『森の直前の夜』を視察した。佐藤は一人芝居を中国地方で連続上演することで、地域の小劇場の間にネットワークを形成しようとしている。そうした佐藤の活動も含め、ひとつの研究成果として早稲田大学坪内博士記念演劇博物館において特別展「演劇の確信犯佐藤信」展を企画・開催した。また、富山県南砺市利賀村に赴き、地域に根付いた文化発信について調査し、8月には利賀村で開かれたシンポジウム「利賀・永田町演劇サロンによる対話」を通じ、行政を司る立場が文化による地域活性についてどのように考えているか聴講した。 舞台映像の利活用をめぐる取り組みは、新型コロナウィルス感染拡大をきっかけに活発化した。そのひとつである「日本の舞台映像のデジタルシアター化支援事業(配信の取組)―EPAD2023―」の利活用基盤づくり事業と、1960年代から80年代の舞台映像を収集する事業に参加した。舞台映像はライブによる上演以外の発信形態として2020年以降増えたが、ライブの代替以外の役割として、過去の舞台映像を文化資源として教育の場で利活用する可能性について探った。そうした舞台映像を含む、上演に関わる資料をどのように管理・活用していくかをめぐって、演劇博物館主催の「舞台公演記録のアーカイブ化のためのモデル形成事業(通称・ドーナツプロジェクト)」にも参加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は主に次の3つの柱を立てて調査を進めている。 ①社団法人全国小劇場ネットワークと参加劇場の活動 ②アートセンター若葉町ウォーフによるアジア演劇ネットワークの形成 ③観客席を中心とする日本の劇場機構の変遷 ①については、これまでに社団法人全国小劇場ネットワークと参加劇場の活動について主に関西圏の小劇場を中心に調査してきた。2023年度はその範囲を中国地方に拡大することができたが、まだ視察できていない劇場は多いため、次年度以降、可能な限り調査したい。②については研究実績の概要でも触れたように、近年、佐藤信がアートセンター若葉町ウォーフで取り組んできたアーティスト同士のネットワークの形成事業も含め、これまでの活動をまとめ、特別展という形で成果報告をした。また、展示の関連イベントとして、佐藤信と吉見俊哉による対談を企画し、劇場の社会的役割をめぐる議論を深めた。③については、大阪市に新しくできた劇場・扇町ミュージアムキューブについて調査をした。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗で触れた3つの柱をもとに調査を継続する。特に③については、劇場史をまだ整理できていないため、次年度以降注力して取り組みたい。また、研究実績の概要でも触れたように、コロナ禍を経て、舞台映像の存在意義が高まりつつあるが、今後、映像としての舞台芸術がどのように社会に浸透し、鑑賞者がどのように利活用するようになっていくのか、EPADの取り組みなどを調査することで検証したい。なお、利賀村での鈴木忠志の活動について、2024年度に論文としてまとめる予定である。
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