研究課題/領域番号 |
22K00279
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
林 真理 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (70293082)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 生命倫理 / ヒト胚 / 研究倫理 / 生命論 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの受精卵について、遺伝子を調べたり、操作したりできるような時代になってきています。そのため、何をして良いのか、何をしてはいけないのかという倫理的な問が議論の対象となっています。では、ヒトの受精卵を、これまで科学者、医師、行政、当事者、市民はどのようなものであると見なしてきたのでしょうか。そのことを振り返って、倫理的な問を考える材料を提供したいと思います。
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研究実績の概要 |
前年度の研究において、アメリカおよび日本における20世紀のヒト胚の発生学的研究および体外受精研究の歴史をたどることにより、ヒト胚の培養技術が進歩することによってヒト胚の見方が変化していくことを明らかにした。 本年度はそれに対して、こういった事態をより一般化して考察すること、および一般化された考え方を現代におけるヒト胚およびヒト胚類似の細胞に関する研究に適用することを試みた。 一般的な考察としては、生命観が変化することで生命操作技術が許容されて新たな技術が使用可能になっていくという見方に対して、必ずしもそうではない生命観と技術の複雑な関係がありうることを明確にした。技術が可能になること、普及することにより生命観が変化していく場合もありうること、また技術の発展がむしろ倫理的なハードルを高めていく可能性があることを明らかにした。 次に、そういった可能性をもとに、現代のヒト胚研究とりわけエンブリオイド(embryoid)等を巡る議論への示唆を考察した。エンブリオイドはES細胞やiPS細胞から誘導される胚に類似した存在である。再生医療のために用いられてきたが、外見上胚に類似したこの対象は、胚に類似した機能をどこまで持っているのか、今のところ十分にはその可能性が研究されていない。そういった可能性だけが推測される状態の中で、エンブリオイドはヒト胚として認識されないでいられる存在の状態を継続しているが、これはヒト胚と同等の可能性があるかどうかについての研究が行われないでいることによって成立しているものであると理解することが可能になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究内容が歴史的な内容から一歩進み、歴史的な視点から現代を評価する別の視点を提供する段階に入った。また研究会での報告も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト胚研究の歴史についてはさらに検討を加えた上で、何らかの形でのまとまりをつけることを考えたい。また現代のヒト胚研究への示唆については、倫理的な議論をさらに深めるとともに、現状についての知識のキャッチアップも行って、まとめて将来的に形にできるような準備を始めたい。
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